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2006年08月21日(月) 01時37分

8月21日付・読売社説(1)読売新聞

 [金融商品広告]「消費者の分かりやすさを競え」

 どんな商品の広告でも、消費者に誤解を与えない、分かりやすさが求められる。信用第一の金融機関なら、なおさらだ。

 公正取引委員会が、みずほ銀行に対し、住宅ローンのパンフレットの表示が、景品表示法に違反するおそれがあると警告した。これを受けて金融庁が各金融機関に、誤認のおそれのない広告表示の徹底を要請し、業界が対応策の検討に入っている。

 問題のパンフレットは、みずほ銀が今年3月に、住宅ローン金利キャンペーンに使った。3月中に申し込み、6月末までに融資を受ければ、表示されている金利で借りられるように読める。だが実際には、融資が4月以降になれば、適用金利は高くなる可能性があった。

 パンフレットには、金利の表示から離れた所に、小さな字で「申し込み時ではなく実際に借り入れる日の金利が適用される」旨が記載してあるだけだった。

 公取委は「取引条件が消費者に誤認される疑いがある表示だ」と判断した。そのうえで、「注意書きの文字を大きくしたり、金利表示と近い『同一視野内』に配置すべきだ」と指摘している。

 実際の融資までには補足説明を受けるから、顧客が金利を誤認したまま契約が成立する可能性は小さい。だが、パンフレットを見た消費者からは、全国銀行協会などに苦情が寄せられた。誤認させる意思がなくとも、まぎらわしい広告で注意を引く行為は、適切ではない。

 みずほ銀は「深く反省している」として、すでに表示を改めた。全銀協や業界の広告表示ルールを作る全国銀行公正取引協議会は、具体的な表示例の策定などに着手した。

 日銀によるゼロ金利政策の解除を受けて、銀行が住宅ローンや預金の金利引き上げに動き、消費者の金利への関心が強まっている。今後、銀行の間で金利に敏感になった顧客を取り合う競争が、激しさを増しそうだ。

 銀行には、自らの商品の利点だけでなく、顧客の不利益になるような情報もはっきりと示すのが、本当の顧客サービスだと肝に銘じてほしい。

 投資信託や変額年金保険など、リスクのある商品を、銀行が扱う機会も増えている。預金でも、最先端の金融技術を使った「仕組み預金」などの新商品では、中途解約すると、手数料などで元本割れするケースが出てくるものがある。

 広告だけでなく、店頭でも、商品の仕組みなどを丁寧に顧客に説明する必要が増している。金利や商品を競うなら、消費者の視点に立って、表示や説明の分かりやすさも、大いに競うべきだ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060820ig90.htm