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2006年08月20日(日) 13時45分

仕事と無関係のサイト遮断ソフト、企業に浸透 漏洩対策朝日新聞

 職場のパソコンを使い野球の結果を知ろうとインターネットに接続するのはダメ——仕事と直接関係ないサイトの閲覧を制限する動きが企業に広がっている。「業務の効率アップ」に加え、昨春の個人情報保護法施行を機に情報漏洩(ろうえい)対策が強化されたためだ。青少年向けとして始まった有害サイトを遮断するフィルタリングソフトの市場が昨年は約2割伸び、今や学校や家庭以上に企業で浸透している。

ウェブアクセスを制限している企業の割合

「このウェブサイトは管理者によって規制されています」。フィルタリングソフトを導入すると、こんな表示が出て、目的のサイトが見られなくなる=東京都大田区のアルプスシステムインテグレーション社で

 トヨタ自動車では今春からアダルトサイトなどの「有害情報」が閲覧できなくなった。買い物サイトやスポーツニュースなど趣味のサイトも、閲覧しようとすると「このページは利用制限されています」との警告が画面に表示される。

 同社では以前から私的利用を制限する内部規則があったが、「徹底されないため実効性のある手段を導入した」という。

 証券会社が加盟する日本証券業協会(東京都中央区、約300人)では、スポーツ、趣味・娯楽、出会い系などのサイトが03年から閲覧できない。「ゴルフや大リーグの結果がわかりにくくなったので、取引先との話題づくりにやや困るという反応はある」と話す。

 ●画面で警告

 システム開発の日立インフォメーションテクノロジーでは、04年から掲示板や転職情報サイトのほか、スポーツや映画、飲食店情報など娯楽性のあるサイトに社員がアクセスすると、「業務に関係ありますか」という趣旨の警告画面を出す。「無視する社員はほとんどいない。ただ、取引先の情報を得にくいといった声もある」と言う。

 一方、三菱商事は利用制限は設けていない。「良識に任せている。商社としてウェブを使って情報収集を速くすることは必要なこと」(広報部)という考えからだ。

 ●大手も次々

 労務行政研究所が全国4057社を対象にし、139社が回答した2月の調査では、インターネット利用でルールを定めている企業68社のうち8割は私的利用を全面禁止していた。私的利用の防止策として、38%が閲覧状況の履歴を保存し、21%がシステム上で監視していた。

 フィルタリングソフト国内大手、アルプスシステムインテグレーション(ALSI)によると、ソフト導入前の企業では、閲覧されるウェブサイトのうちほぼ4分の1が私的利用と見られるという。顧客の大手測量機器メーカーの場合、30%あった私的利用率が導入後は1%に減った。

 ALSIによると、大手企業の導入率は約4割。富士キメラ総研の調べでは、個人情報保護法が本格施行された05年の国内市場は前年から20億円増え115億円に伸びた。

 フィルタリングソフト大手のデジタルアーツによると、導入先の内訳は企業が60%、学校・官庁が30%、家庭が10%。「企業が情報漏洩対策や内部統制を進める中、ウェブにアクセスしただけで情報が漏洩することもあるため、アクセスを制限したり履歴を監視したりする必要が出てきた」と分析する。

 社員の電子メールの内容では、一定のプライバシーを認める判例がある。しかし、労働環境とプライバシーを研究する砂押以久子立教大講師(労働法)は「サイトは情報を得る手段にすぎず、アクセス制限にプライバシー侵害が成立する余地はないと言える。ただ、チェックされる側がストレスを感じる方法だと、人格権の侵害につながる可能性がないとはいえない」と指摘する。

http://www.asahi.com/life/update/0820/004.html