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2006年08月17日(木) 00時55分

「摂理」国内組織、韓国人2女性が指揮朝日新聞

 鄭明析(チョンミョンソク)教祖(61)=強姦(ごうかん)容疑で国際手配=による女性信者への性的暴行などが問題になっているカルト集団「摂理」は、日本国内の組織を教祖側近の韓国人女性2人に指揮させていることがわかった。大阪府豊中市の国内代表者(45)と、千葉市のナンバー2幹部(44)=出入国管理法違反容疑で告発=で、それぞれが独特のカリスマ性を発揮して、東西の信者を「絶対服従」の支配下に置いてきた。集団の実態発覚後は2人そろって姿を消し、代表者はすでに韓国へ出国したとみられる。

96年3月、「摂理」の集会で、演壇に立ち、話をする女性代表者(右側)。隣が来日中の鄭明析教祖

「摂理」の組織

 「カリスマ」「切れ者」「高飛車だが人情家」——。女性代表者は元信者らからそう評される。黒髪で小柄。いつも運転手付きの高級車で移動していた。

 80年代後半、筑波大(茨城県)に留学し、国内での信者獲得を始めた。90年代半ばから関西に活動拠点を移し、信者が集まる「教会」を大阪、神戸、京都のマンション一室など10カ所近くに次々と設けた。近年は、海外潜伏中の鄭教祖に代わり、信者同士の合同結婚式を取り仕切るまでになっていた。

 最近まで、豊中市の阪急沿線にある信者名義の邸宅に身を寄せていた。パステルカラーのスーツを何着も持ち、牛肉を好んで食べた。関西の教会を連日巡回し、教祖の説教を日本語に訳して信者に聞かせた。

 「在留資格に問題はないのか」。この2月、関西の脱会者有志が大阪入国管理局に対し、女性代表者の身辺調査を文書で申し入れた。集団の実態を隠した不正な勧誘を主導し、鄭教祖のもとに女性信者を呼び寄せて性的暴行の手助けもした、と訴えた。しかし、入管側から返答がないまま、女性代表者は、7月末に姿を消した。

 関東の信者を束ねるナンバー2の女性幹部は「私と先生(教祖)の心情はひとつなのです」が口癖だった。脱会者らは「プチ教祖気取りだった」と明かす。合同結婚式の縁組を決め、生まれた子に命名もした。夜中に突然「温泉へ行く」と言い出し、信者らが無理やり同行させられたこともあったという。

 女性幹部もいまは所在がわからない。信者の脱会を支援する弁護士らが10日、入管法違反(資格外活動)容疑などで千葉県警へ告発し、鄭教祖の性的暴行に関与した疑いでも訴える構えをみせた。だが、女性幹部は信者らへのメールで「そんなことはしていない」と否定している。

 女性幹部は、教祖と親密な関係にあり、集団の現況を教祖本人に直接伝える「報告者」の一人でもあった。こうした役割を担う現役信者の女性は、国内に少なくとも30人以上いるとされる。

 「摂理」には、全国40カ所前後に教会がある。鄭教祖に指名された「リーダー」が「サブリーダー」と男女ペアで配置され、下部信者の指導・監督にあたっている。関西と関東では週1回、それぞれ女性代表者と女性幹部のもとに集まって信者獲得の状況を報告し、今後の活動方針の指示も受ける。

 女性代表者を知る30代の女性脱会者は「人を殺せと命じられれば逆らえない。そんな集団の恐ろしさに現役信者は早く気づいてほしい」。また、女性幹部のもとで活動していた30代の男性脱会者も「信者は教祖や幹部らの指示に百%従う。いつ暴走してもおかしくない」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/0816/OSK200608160219.html