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2006年08月15日(火) 00時00分

電池供給のソニーにダメージも デルPCのリコール朝日新聞

 米パソコン最大手のデルが、ノート型パソコンに内蔵されたソニー製の充電池約410万台をリコール(回収・無償交換)する。情報家電では史上最大規模のリコールとみられ、回復基調にあるソニーの業績に暗い影を落とす可能性も出てきた。充電池は高性能・高品質を売り物にこれまで日本勢が世界シェアの大半を握ってきた。ただアジアメーカーから激しく追い上げられており、日本製のイメージ低下を懸念する声が業界内であがっている。

 デルによると、同社製パソコンの過熱・発火事故は全世界で6件発生し、そのうち2件が日本国内という。

 デル日本法人は15日、国内のリコール対策を発表。04年4月から06年7月までに販売した製品が対象で、充電池の識別番号などを掲載した専用ページ(http://www.dellbatteryprogram.com)と専用電話(0120・198・437)を開設した。オンラインで無償交換手続きもできる。

 充電池の製造元であるソニーも同日、不具合を認めた。同社によると、微小な金属片が製造過程で電池内に混入し、パソコン側の充電システムにつなげると、ごくまれに電池内でショートした状況になり、過熱・発火する場合があるという。

 米メディアによると、リコールに伴う費用は3億ドル(約350億円)とも予想される。ソニー側が大半を負担することになりそうで、07年3月期の連結業績を圧迫する恐れがある。

 問題の充電池は、小型ながら高い電圧が得られるリチウムイオン電池。ソニーはこの電池を子会社ソニーエナジー・デバイス(福島県郡山市)で製造している。国内2カ所、中国1カ所の工場は工程の大半を自動化。「出荷前の電池の動作テストでは異常がなかった。事故を受け、金属片の除去工程を増やした」(同社)という。

 こうした見方に対し、国内電池メーカーで構成する社団法人電池工業会(本部・東京)は「異物混入は最も避けねばならず、ゆゆしき問題だ。品質管理は二重三重にやるのが普通だ」とソニーの検査態勢に首をかしげる。近く同社に直接事情を聴く方針だ。

 リチウムイオン電池はソニーが世界で初めて実用化に成功し、91年に自社製の携帯電話に搭載した。その後、ノート型パソコンやデジタルカメラなどの軽量小型化が進み、充電池の主役の座をニッケル水素電池から奪った。一時は三洋電機やソニー、松下電池工業など日本勢が世界シェアの9割超を占めた。現在のシェアは7割程度。

 デジタル製品の小型化のカギを握る基幹部品だけに、中国・韓国メーカーも製品開発に躍起だ。日本のライバル社は「高品質が売り物の日本製のイメージが低下すれば、シェア競争に悪影響が出かねない」と心配する。

http://www.asahi.com/digital/pc/TKY200608150542.html