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2006年08月15日(火) 06時02分

司法支援センター、弁護士確保に苦心朝日新聞

 トラブルを抱えた市民の法的な解決を後押しする「駆け込み寺」として「司法支援センター」が10月、全国各地で一斉に開業するが、中核となるはずの常勤弁護士が初年度計画の3割弱しか確保できていないことがわかった。06〜09年度に75人ずつ、計300人の弁護士を全国に配置する方針だが、志願者が少なく初年度の内定は約20人にとどまっている。センター事務局(東京)は、常勤弁護士の確保に必死だ。

司法支援センターの地域事務所が置かれるところ

 弁護士が配置される予定だったのは全国71カ所。地裁や地裁支部がある61カ所のほか、弁護士がごく少ない「司法過疎地」の新潟県佐渡市、鳥取県倉吉市など10カ所には「地域事務所」が置かれる。

 司法支援センターは、司法改革の目玉のひとつで、法的な紛争を気軽に相談し、解決法を探る場所が各地に必要だという声から構想された。業務の中心は、無料で利用できる電話の情報提供で年間100万件以上の問い合わせを想定している。

 センター設立が正式に決まった04年以降、日本弁護士連合会(日弁連)や法務省は弁護士や司法修習生に志願するよう呼びかけてきた。弁護士資格を持つ全国約2万人が対象だが、内定したのは経験1年から20年弱の約20人にとどまる。

 必要な人数を確保できるか危ぶむ声は構想段階からあったが、これほどの不振は日弁連にとっても予想以上だった。

 弁護士の間では、地方勤務が避けられない▽給与こそ同期の裁判官並みとはいえ、最長9年と任期が限られ、長く勤めるほど給与が上がるメリットはない▽経験がその後どう役立つか予想しにくい、などと敬遠する声が出ている。裁判官だと経験10年以上なら年収1000万円を超えるが、大都市の弁護士なら年収数千万円も望め、一定の収入がある弁護士には、待遇面で不安があるらしい。

 弁護士志望の学生らと接する法科大学院教授は「これほど集まらないのでは、制度の運営に影響しかねない。ただ、苦学して試験を通った若手も多く、給与などの条件が合わないと踏み切れない。都会で働く魅力も大きいのだろう」と話す。

 センターが常勤弁護士に期待する領域は、資力がない人が破産手続きや民事訴訟を起こす場合の民事法律扶助と、刑事事件での国選弁護だ。特に今秋から、殺人などの重大事件では起訴前にも国選弁護が適用され、年間約6000件が対象になる。

 さらに09年には刑の軽い事件にも対象が広がり、件数は約10万件にもなる見通し。同じ年に裁判員制度が始まると、裁判が連日のように開かれる。こうした仕事に専念できる常勤弁護士が300人は必要だとセンターは試算した。

 センター事務局は「困った人を助ける公的な仕事に関心をもつ弁護士はいるが、新制度なので様子を見ているのかもしれない」とみて、粘り強く求人を続ける方針だ。内定した弁護士は司法過疎地に優先的に配置する。常勤弁護士が空席でも、地元弁護士と契約して個別の事件を担当してもらい、業務を果たすことができるとみている。

http://www.asahi.com/national/update/0815/TKY200608140271.html