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2006年08月14日(月) 12時09分

「ガンダムっぽくいけ!」──「N902iX HIGH-SPEED」デザインの裏側+D Mobile

「N902i」(左)と「N902iX HIGH-SPEED」(右) 写真:ITmedia    国内初となるHSDPA対応端末が「N902iX HIGH-SPEED」だ。データ転送速度は下り最大3.6Mbpsと、FOMAの384kbpsと比べて約10倍の高速通信が可能で、「ミュージックチャネル」や「着うたフル」、最大5Mバイトまでの大容量な「iモーション」のダウンロードなどに対応する端末だ。

【詳細写真】

 同機種はスピードやサービスだけでなく、近未来をイメージしたデザインも大きな特徴となっている。ただならぬ存在感を持つN902iX HIGH-SPEEDのデザインについて、同端末を企画し、NECとのコーディネートを担当したNTTドコモ プロダクト部 第三商品企画担当部長の中村吉伸氏と、企画担当の高津利樹氏に話を聞いた。

●「ガンダムっぽく」の結果

 5月11日の発表後、ワイヤレスジャパン2006で実機が披露されたN902iX HIGH-SPEEDだが、デザインに関する反応はどんなものがあったのだろうか。

 「ガンダムはもちろんですが、ほかにもマクロスや、スター・ウォーズに出てくるストームトルーパー、女性ではAIBOの顔に似ているという人もいました。多くの要素を盛り込んでいますから何に似ているかは見る人によると思いますが、メカメカしいデザインを通して、この端末のもつ先進的なイメージを感じ取ってもらっています」(高津氏)

 同端末の企画開発については、同社プロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部の夏野剛氏が「ガンダムっぽく一気にいけー」という指示を出している。

 高津氏はこの発言を受けた際の感想をこう話す。

 「“ガンダム”という単語が出たときは、いろんな意味で驚きました。やっていいのか、やっちゃっていいのかと。また、言葉に込められている意味を正確にとらえる必要もありました。単に似ている端末を作れという意味ではありませんから」

 N902iX HIGH-SPEEDをHSDPAエリアで使うということは、FOMAの10倍の速度でメールやWebを利用できるだけではない。着うたフルやミュージックチャネルなど、通信速度を生かした新しいサービスをいち早く楽しめなければならない。ガンダムという響きの裏には「新しい」「圧倒的」「新時代を開く存在」といったニュアンスが込められていたのだろう(もちろんボディが白い必要もある)。

 こうした要求をどう造形に落とし込むのか。高津氏は単にディティールをメカっぽくするだけでなく、端末の持つ機能に説得力を持たせることを目指したという。

 「どの端末もそうですが、モノとして所有したくなるデザインを目指すわけです。N902iXでは、モノとして優れているだけでなく、個々の機能を実感でき、持ち歩くことを喜べるデザインにしたかった」(高津氏)

 高津氏に具体例を挙げて説明してもらった。まず背面のデザインは多角形のパネルで構成しているが、左右の大きな2つのパーツは、ステレオスピーカーを強調する役割を持つ。端末が音楽機能に力を入れていることを象徴しているのだ。そして、パネルの合わせ目は「H」という形になっていて、HSDPAの「H」を意味している。

 また、操作の中心となる十字キーとソフトキー周辺は、戦闘機のコックピットコンソールをイメージし、アウト/インカメラともレンズの周りには、ターゲットスコープのディティールを追加した。ニューロポインタは装甲車などのタイヤを、背面→裏面のFeliCaチップの周りは、メンテナンスハッチを連想させるデザインを採用する。

 これらはやみくもにメカメカしさを狙ったわけでなく、働きを連想させるメカっぽい要素を加えることで、それぞれの機能が直感的に分かる演出になっている。

●端末の個性はドライブモードボタンで分かる

 N902iX HIGH-SPEEDのこだわりは、特徴的な造形だけではない。例えば、ダイヤルキーの数字や文字のタイプフェースの違いにも注目したい。どことなく古代文字を想像させるフォントは本機用にデザインされ、外見同様に力を注いだという。「数字は比較的デザインを変えやすいのですが、ひらがなや漢字のフォントをカッコよく、そして見やすく作るのは難しいですね」(高津氏)

 文字だけなく、さまざまな記号も端末のイメージに合うようにデザインした。「例えば発話/終話ボタン上にある電話のマークですが、多くの端末は昔ながらの黒電話のデザインだったりするんですね。先進性のある外観なのに、こうところが従来の端末と同じでは面白くありません。近未来に使われているような電話のマークにデザインしてもらいました」(高津氏)

 また、ドライブモードボタンに描かれる車のデザインにも気を配ったという。高津氏は、端末の個性はドライブモードボタンに現れると話す。「ユーザー層を広く想定した端末では4ドアのセダンですが、MUSIC PORTER XだとRV車になっています。デザインがアウトドア指向ですし、モバHO!に対応するなど、よりアクティブな使い方をコンセプトにしていますから。N902iX HIGH-SPEEDの場合も、端末の性格に合わせて車をデザインしてもらいました。もちろん、未来志向のデザインになっています」

 「職業柄、さまざまな携帯電話を使っていますが、自然と使う端末と使わない端末が出てきてしまう。“その差は何?”と聞かれても、自分でも分からないくらい微妙な差なんですよ。でも、フォントや電源のオン/オフ画面などの細かい部分までコンセプトが徹底されていると、よい印象を持ちますね。N902iX HIGH-SPEEDも外見だけでなく、細かいデザインまでイメージを統一しています」(中村氏)

●全体のコンセプトは「モバイルスターシップ」

 N902iX HIGH-SPEEDのディティール向上には、映画やアニメ、ゲームに出てくるメカニックのそれを基に行われた。ロゴや型番、カメラのスペックも、SF作品に登場するメカのようにマーキングされている。端末の機能や性能について、このように顕示することは珍しいという。「最近の端末はフラットでスマートなデザインが多いですから、型番やスペックも控えめに入れています。ですが、N902iX HIGH-SPEEDではあえて目立つように表記しました」(高津氏)

 機能を強調した個々のデザインを積み上げ、1つの端末としてまとめるために掲げたのが「モバイルスターシップ」というデザインコンセプトだ。さまざまな能力や思いを内包して、未来へ突き進むわけである。

 中村氏は「我々は企画端末の開発を行うチームで、これまで「MUSIC PORTER X」や「SO902iWP+」などを担当してきました。ユーザー層を絞って、より“とんがった”端末を作ってきたんです。N902iX HIGH-SPEEDは新規格端末ということもあって会社全体の後押しがあったおかげで、デザインについても、いつも以上に先鋭的な取り組みができたと思います。これまでになくSF的で、かなり思い切ったデザインですが、社内的にもかなり好評で“やりすぎ”という人もいません。うまくまとめてくれたと思います」と振り返る。

 「この端末が持つべき、新しさや速さ、特徴的な音楽機能など表現するべき要素はすべて盛り込みました。この端末デザインについてはやりきったという感想です。機能を持ち歩く喜びを実感してもらえると思います。360度スキはない、といいたいですね」(高津氏)


http://www.itmedia.co.jp/mobile/
(+D Mobile) - 8月14日12時9分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060814-00000047-zdn_m-sci