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2006年08月12日(土) 08時17分

<リフォーム社長>後見契約結び家売却 認知症女性が被害毎日新聞

 東京都内の訪問リフォーム会社社長が、新宿区内に一戸建てを持つ認知症の女性(85)と成年後見契約を結び、家を売却しようとしたことが分かった。同社が女性宅を工事した後、行政書士の資格を持つ社長が後見契約を持ちかけていた。女性の親族は「(女性は)後見契約の意味も家を売られたことも分かっておらず、社長は立場を悪用した」として契約を解除。近く、財産の一部返還などを求めて提訴する。社長は「すべて本人の意思に基づいて行った」と反論している。
 法務省は昨年、多発する悪質リフォーム被害対策で、判断力が衰えた高齢者に代わって財産などを管理する「成年後見制度」の活用を勧めていた。今回のケースは、その後見人自身がリフォームにかかわり、保全すべき財産を処分していた。制度の根幹を揺るがす事例と言え、同省などは対応を迫られそうだ。
 契約書などによると、同社が女性と最初に工事契約を結んだのは03年9月。04年1月にかけて床下や基礎など、少なくとも3件計121万8000円分を受注した。しかし施工個所を確認した1級建築士は「土台補強が上から塗料を塗っただけなど、施工はずさんで、工費も適正価格の数倍から十数倍」と指摘する。
 社長が女性と後見契約を結んだのは、05年9月。本人の意思で選任する任意後見契約で、都内の公証役場で公正証書を作り、法務局に登記した。社長は登記翌日に不動産会社と土地建物を4400万円で売却する契約を結び、社長が手付金440万円を受け取った。
 同年12月、立ち退きのため社長が女性を引っ越させようとして騒ぎになり、親族が駆けつけた。女性が「家を売るわけじゃない」と話したため、親族は引っ越しを止め、不動産会社に手付金分を返して家を取り戻した。
 その後、女性は中程度のアルツハイマー型認知症と診断され、親族と弁護士が改めて法定後見人になった。診断した医師は「12月の状態からすると、(社長と後見契約を結んだ)9月末ごろには既に発症していたとみるのが妥当」としている。
 公正証書作成に立ち会った公証人は「後見人への謝礼が高額だったことや、後見人が遠方に住んでいることが気になったが、許容範囲と判断した。疑問点を問いただすべきだった。親族に話を聞き、だまされたと気付いた」と話した。
 社長は取材に「女性は自分の意思で私に後見人を依頼した。家も本人の求めで売却し、手付金は後見人の報酬や女性の転居費用などに充て、残り約100万円は女性に渡した。今になって親族が現れ、私がだましたかのように言うのは極めて心外だ」と話している。【リフォーム取材班】
(毎日新聞) - 8月12日8時17分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060812-00000005-mai-soci