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2006年08月12日(土) 22時33分

安倍氏、脱「小泉路線」へ傾斜 参院選視野に朝日新聞

 安倍官房長官が、小泉改革の継承者という立場を微修正し、徐々に「脱小泉」を模索し始めた。首相就任を見越して、小沢民主党との全面対決になる来年夏の参院選を早くも視野に入れているからだ。今年1月以来になる「お国入り」で支持者を前に行った自民党総裁選への立候補宣言でも、地方への配慮を色濃くにじませた。

 「未来に夢を持てる農業、林業、漁業にしていかなければいけない。所得が増えていく第1次産業を目指したい」

 安倍氏は12日、山口県下関市の総決起集会で「第1次産業所得拡大構想」を提唱し、「地方重視」の姿勢を強調した。同県の山陰側は水産拠点として栄えたが、戦後、第1次産業は衰退し農山漁村の過疎化が進む。

 下関市の江島潔市長は同じ集会で「負けた地域を、しっかりもう一度押していただくのが安倍内閣ではないか。まずは小泉改革を肯定する。悪いところ、うまくいかなかったところは安倍先生に託す」と、小泉路線の修正に期待感を示した。

 党内からも「小泉改革路線は経済至上主義で地方に冷たい」と批判のある小泉首相。安倍氏はこの日、「改革の炎は絶やしてはいけない」と強調しつつ、「地域の格差を感じる人たちがいるのは事実。地域の再生に全力を尽くす」と約束した。

 「脱小泉」を意識する安倍氏の発言は「公共事業有用論」にも象徴的に表れている。

 7月23日の日本青年会議所の集会では「(戦後の)日本は借金をして新幹線、高速道路をつくった。必要なものはちゃんとやっていく」と発言。12日にも山口県長門市で「山陰自動車道は必要でしょうし、インフラ整備、基礎的な基盤をつくっていくのも政治家の大きな使命だ」。公共事業費の大幅削減をためらいなく続けた首相との姿勢の違いは鮮明だ。

 ただ、政府の歳出歳入一体改革で向こう5年間の財政再建目標が決められている中で、公共事業の増発は難しい。党内からは「小泉首相の政策を踏襲することを国民は心配している」(森前首相)との声が上がっており、各派閥のベテラン議員は8日、安倍氏に「公共事業に代わる地方への再配分の仕組みが必要」と指摘した。安倍氏が自らの政権で「小泉路線」からの揺り戻しを加速させるのは確実だ。

 安倍氏が「地方重視」を強調するのは、民主党の小沢代表が与野党逆転をかける来年夏の参院選では、山口など29ある地方の「1人区」が勝敗のかぎを握るからだ。

 9月1日の正式な立候補表明を前に、安倍氏は今月15日から山梨県内で夏休みをとり、政権公約をじっくり練る考えだ。安倍氏に近い議員はこう解説する。「安倍氏が政権を獲得しても、来年夏の参院選で負ければ『10カ月天下』に終わる。小泉的なものをどこまで否定できるのか。そこが勝負だ」

http://www.asahi.com/politics/update/0812/007.html