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2006年08月08日(火) 21時42分

摂理、大学別に勧誘法 時事サークル、引っ越し手伝い…朝日新聞

 国内で多くの大学生を信者に引き入れてきたカルト集団「摂理」が、首都圏や西日本の有名大学で今春も新入生らを対象に進めた勧誘の実態が、集団の内部文書でわかった。大学ごとに「エリート」「純粋」などと学生気質を分析し、時事問題から地域芸能まで多彩なサークル活動を装って食い込んでいた。鄭明析(チョン・ミョンソク)教祖(61)=強姦(ごうかん)容疑で国際手配=が直接キャンパスを訪れ、信者獲得を鼓舞したとされる大学もあった。

 内部文書には、東京大、京都大、筑波大、早稲田大、日本大の5大学での勧誘実態が、いずれも4月上旬の日付で報告されている。

 総論の記述では、オウム真理教事件の後、「日本では最初から宗教を持ち出す伝道(勧誘)は難しい」と指摘。サークルを装って誘い込み、「信頼関係を形成してから」教義を教え込んでいくマインドコントロールの手口を説いている。

 「政治、経済、科学など日本の指導者を輩出する最高学府」。文書でそう評される東京大では、91年から獲得が始まった信者が近年、約50人に達した。学生について「エリート」「社会を変えたいと野望を抱いている人が多い」と分析する。

 今年に入り、鄭教祖の教えに従って、時事問題を考える偽サークルをつくった。大手企業社員や医師、弁護士ら東大卒の信者が講師を務め、新入生も多数参加した。昨夏には、海外潜伏中の鄭教祖から激励の電話があり、信者の現役学生らは「より一層、教祖のために働く決心をし、伝道に励むようになった」と記している。

 文書によると、京都大には、01年12月、来日中の鄭教祖本人が訪れた。清水寺を見学し、湯豆腐にキムチを入れて昼食をとった後、学生信者らとキャンパスを約30分歩いた。当時の信者リーダーが「京大生は心が固い」と打ち明けると、鄭教祖は「そのほうがよい。(勧誘に)時間がかかったとしても、揺れない強い人になる」と説いた。

 約20年前、集団が最初の拠点とした筑波大(茨城県つくば市)。鄭教祖側近の韓国人女性の留学先でもあり、これまでに10人近い集団幹部を生み出した。鄭教祖自身も94年に来校している。学生は「純粋」で地方出身者が多く、今春も学生宿舎への引っ越しを手伝うなどして約100人の新入生を引き込んだ、と報告している。

 早稲田大(東京)は90年代後半に信者が倍増し、今も15人以上いるとされる。勧誘を担当する信者は、早大生を「愛に飢えているのに人に頼れない」「決心したら絶対変わらない強さがある」と評価。「政治、経済などの分野で、教祖を支える人が必ず出てくる」と期待を込める。

 約8万人の学生を抱える日本大(同)では、99年に高知発祥の演舞「よさこい」の偽サークルを結成し、男子学生らを入信させた。「(信者数が)日本一になる日も近いかもしれない」

 「摂理」に食い込まれた各大学の担当者は、ショックを隠せない。京大は「わが校がそこまで狙われていたとは」と驚く。筑波大は「信者とされる人物に確認のとりようがない」と困惑し、日大は偽サークルが非公認で「実態把握は困難」と頭を抱える。東大、早大は事実確認ができないため、「ノーコメント」としている。

http://www.asahi.com/national/update/0808/OSK200608080186.html