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2006年08月07日(月) 00時00分

クチコミがマスコミを超える日読売新聞

 クチコミメディアがマスコミに匹敵する日が来るのだろうか——CGM連載第3回は、ブログやパブリックジャーナリスト、「4travel」やなどを例に、口コミメディアの影響力やビジネスモデル、将来像について考える。

CGMが“マスコミ化”する可能性

  前回の連載では、マスメディアを含む既存メディアと、マスメディアの記事をネット配信する「Yahoo!ニュース」のようなWebサイトを「1.0型」、ブログなど口コミを中心にしたユーザー参加型ネットメディア(CGM:Consumer Generated Media)を「Web2.0型」と定義し、それぞれの特徴とビジネスモデル、相互作用について考えました。

 その中で、1.0型メディアとWeb2.0型メディアは情報の特性が異なるため、それぞれに入る広告も異なり、同一サイト上に共存させるのは難しいと解説しました(前回連載の「広告ビジネスの“対立”」参照)。しかしこの両者を共存させているメディアも現れ始めています。

CGMを編集し、メディア化した「4travel」の例

「4travel」は、旅行に関するブログやQ&Aサービスをユーザーに提供し、そこから生まれた旅行に関する優良なCGMを集めて表示するという編集作業を施すことで、CGMを、あたかも1.0型メディアと同じような(編集されて広告主に対してマイナスイメージを与えることのないコンテンツを持つ)メディアにしています。その結果CGMで構成されたメディアでありながら、ブランディング広告も獲得できるメディアとなり、業績も確実に伸ばしているそうです。


4travelのサイト

“玉石混交”から“玉”を選んで整理する

 4travelほど人手による編集はされていないものの、玉石混交なCGMの中から、技術的、あるいは少しだけ人の手を介し、「選択し整理されたCGMの集合体」とすることで、1.0型メディアのような体裁をもつサイトがいくつか現れてきています。

 レストランの口コミサイト「食べログ」や「ライブドアグルメ」、株取引に関するブログポータル「カブログ」、転職ブログポータル「キャリログ」、レシピの口コミサイト「クックパッド」などがその例です。

 このように、特定の地域、産業、経済、文化、趣味、好みなどに方向付けをしてCGMを集める、あるいは何らかの方法で、ある分野に対してCGMに分類を施し、集積させ、整理して表示することで、1.0型メディアの特性を持たせることができます。

 また、これが無差別に集めたCGMであったとしても、ある程度の数の量があれば、抽出し組み合わせることにより、さまざまな用途のメディアを形成できる可能性を持っています。

CGMは「体験共感型メディア」

 Amazon.co.jpで本を買ったことがある人なら感覚的に理解しやすいとことだと思いますが、ここで本を買おうとするユーザーの大半は、出版社からのセールス文句よりも、個人のレビュー(CGM)を見て買うかどうかの判断をする人が多いようです(統計はありませんが私の周りではそうです)。

 それはCGM自体が、特定の利害関係がない、個人の体験や発見に基づく情報であり、リアリティーがあると感じられるからです。つまりAmazonのレビューのような「選択し整理されたCGMの集合体」で形成されたメディアは、特定の発信者の意図が顕著には現れない、公平で信頼できるメディアであると言えるでしょう。このようなメディアは「体験共有型メディア」と言えます。

体験共有型メディアは購買に強く影響

 消費者が購買行動に至る過程で、買ったことがあるものは過去の体験をイメージして購入し、買ったことのないものは購入後の自分をイメージして購入する、という心理が働いていると私は考えています。

 しかし、購入後の自分のイメージの手がかりになる情報は、主に1.0型メディアに掲載されているセールス文句など、特定の情報提供者による一方的なものであり、これには客観性はなく、時には間違ったイメージを持って購買行動を取ってしまうこともあります。

 これに対して、CGMによる体験共感型メディアは、より中立で客観的なイメージを与え、間違いの少ない行動を促すことができる可能性を持っています。

 これらのことから将来、CGMで構成されたメディアは、1.0型メディアよりも消費者に支持されるものになると考えられます。

ニュースのCGM パブリックジャーナリストの可能性

 ライブドアのパブリックジャーナリスト(PJ)は、韓国の市民記者新聞「オーマイニュース」を参考に私が立ち上げた、一般市民が記事を投稿し、それをニュースとして配信するメディアです。2005年1月よりスタートし、現在(2006年5月)で300人以上のPJが登録をしています。

 韓国のオーマイニュースでは、すでに数万人のPJが存在しています。日本のPJの数字とはかなり差があるのですが、これは韓国国民が政治ニュースに強い関心をもっているためです。そのため、オーマイニュースは韓国の大統領選挙などの政治に関して最も影響力のあるメディアと言われています。

 PJは個人にとって理想的なニュースメディアとなる可能性を秘めています。ニュースの興味は人それぞれ異なります。最も興味があるニュースとは、マスメディアが配信する全国区のニュースではなく、最も自分に身近で関係があるニュースのはずです。

   

 例えば自宅の目の前の道路工事、自分が通勤している電車の運行状況、近所で起きる事故や災害などの地域的な話題などは、その人にとってはテレビで流れているニュースや新聞のトップ記事よりも興味があるところでしょう。PJの人数が全国に増えば、よりニッチな、個人にとって身近で関心のあるニュースを配信できることになります。

 また、マスメディアのニュースと比較して、インターネットによるニッチニュースの集合体は、検索技術が存在するおかげで、些細(ささい)な情報であっても読みたい人とのマッチングが容易に可能であり、PJは新たなニュースのあり方を提供する可能性を持っています。

 とは言っても、マスメディアから配信される、大多数が興味を持つ情報も重要であることは間違いないので、これらは共存するものだと考えられます(前回の連載参照)。

「このニュースは○%信頼できます」と表示される時代に?

 PJが増え、投稿されたニュースが「選択し整理されたCGMの集合体」となった時には、特定の発信者の意図が顕著には現れない、幅広いジャンルのバランスが良く、全体として公正なニュースメディアとなるでしょう。

 しかし、個人が提供するニュースに信ぴょう性がどれほどあるかといった課題もあります。これに関しては、それぞれのニュースの精度は分からないにしても、同じ話題のニュースが集積した時、見る側のユーザーは、見解の情報量のバランスから「これは『○%』正しい可能性のあるニュースだ」という風に捉えるようになるかもしれません。

 これは気象庁が天気の予報をする際、何百人かの気象予報士が一斉に予測をし、その予報の割合から結果を導き出す方法と似ています。数万人のPJによるニュースの集積が実現した時、「このニュースの見通しが正しい可能性は○%です」と表示されるようになるかもしれません。

ブログがニュースになる日

 大きな災害時に、一般的なテレビやラジオのニュースよりもブログの情報の方が早い場合があります。とは言っても、それはいわゆる「地震速報」や気象庁が出すようなニュースでなく、そこに住む人の生の声によるブログなどへの投稿です。私は、2004年の新潟県中越地震の第1報をブログで知りました。ブログから得られるニュースは生の声であり、リアリティーをもって共感できるものがあります。

 最近では、今年の6月12日午前5時1分に大分県で起きた地震のブログが5時12分にはアップされていました。ブログ検索で「地震」のキーワードをたたいて見ると地震がおきてから数分以内に何千もの書き込みが発生していることが分かります。この中から情報を抽出すれば、信頼性の高い住民の感想が集められると思われます。

 阪神大震災当時、ブログは存在しませんでしたが、インターネットから情報を手に入れた人も多かったようです。地震や台風などの自然災害時には、インターネットは最もタフなインフラとして使うことができます。何よりも投稿数が多いことが注目すべき点であります。

 これからブログ文化が成熟し、書き手のマナーのようなものが現れたとしたとしたら、災害時のブログの書き方が統一され、貴重な情報源になる可能性を秘めています。

 例えば、どれくらい揺れたか、何か壊れたか、けが人はいないか、周りで火事や倒壊などは起こっていないか、などのフォーマットが存在し、それが集積し、全体としての情報になった時には大きな力になると考えられます。

http://www.yomiuri.co.jp/net/itmedia/20060807nt02.htm