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2006年08月04日(金) 00時00分

売り込み本番はウェブサイト テレビCMは今や「入り口」朝日新聞

 「○○と検索してください」と呼びかけるテレビCMを最近よく見かける。「ヤフー」や「グーグル」などの検索ページの「検索窓」に、商品にまつわるキーワードを入力させて、ウェブサイトに誘導するCMだ。今やCMは“入り口”で、サイトまで来てもらうのが勝負なのだという。

 木村拓哉がパソコンで地上デジタル放送を見ていると、突然、謎の生き物が現れる。「何だ、あんた」と驚くキムタクに「チデジンです」。かみ合わないやりとりの後、検索窓に「地底人は誰?」という言葉が打ち込まれる。その正体はウェブサイトを見てのお楽しみ、という仕掛けだ。

 これは富士通のテレビCM。放送初日の翌日に17万3000件のアクセスがあり、3週間で170万件に達した。「CMは大勢の人を引きつけるが、商品の特徴を伝えるには十分ではない。興味を持ってくれた人に、さらにサイトで楽しみながら、新しい機能や特徴を理解してもらいたい」と宣伝部の尾島良介さん。

 しかし、「地底人」という3文字だけで検索してみると、検索結果を表示するページには、洞窟(どう・くつ)探検が趣味の個人のサイトが上位にきている。あれれ?

 日産自動車のCMは「ユリゲラー?」と検索するように促すが、検索結果には、フリー百科事典「ウィキペディア」のユリ・ゲラーの項目や彼のCDなど、車とは関係のないサイトのタイトルが並ぶ。

 「ヤフー」「グーグル」などの検索エンジンは、人気や重要度によって、検索結果に順位をつけて表示しているが、この順位を決めるのは自動プログラムで、人為的な介入はない、とされる。一方、広告主は入札でキーワードを買い、検索結果ページの上端または右端にある「スポンサーサイト」に表示させることができる。車やマンションなど一般的な言葉は競争が激しく入札価格は高い。他社と差をつけ、商品やキャンペーンを連想できるキーワード選びが担当者の腕の見せどころだ。「地底人」はそのユニークさからか、最低価格で落札した。

 丸井の「ナツ 水着 m—flo」、全日空の「LIVE/中国/ANA」のように、複数のキーワードで確実に検索結果の上位に誘導する作戦もある。だが、これもあまり長くなりすぎると今度は覚えきれなさそう。また、検索エンジンを使った広告を集めたブログや、CMの感想を書いた個人のブログなどが上位に上がってくる皮肉な事例も目立つ。

 ただ、広告主側は検索結果の順位にはそれほどこだわってはいないよう。日産自動車は「スポンサーサイトに広告を出しているので、検索結果は10件目までに入っていれば問題ないでしょう」。富士通も、個人の「地底人」サイトがあることを承知の上で、楽しんでもらう方を重視しているという。

 インターネット広告を研究する「Web広告研究会」の田実日出翁さんは、「今の消費者は商品に関心を持つと検索する。さらにブログなどで他人の感想を探す。ウェブとの連動で、広告主にコントロールできない部分が増え、広告が伝わる導線は複雑になっている」と話す。

http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200608040295.html