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2006年07月29日(土) 00時00分

そろりスタート、緊急地震速報 鉄道や病院、どう運用?朝日新聞

  

 地震の初期微動をとらえ、強い揺れが来る直前に、いち早く鉄道や工場などに知らせ、被害を少しでも減らそうという気象庁の「緊急地震速報」の提供が、8月1日から始まる。震源に近い地震計のデータを解析し、地震の到達時間や震度が事前にわかる画期的なシステムだ。だが、大勢の人が集まる施設で「間もなく大地震が来る」と伝えてもパニックを引きおこす恐れがある。当面は利用者を限定し、効果と影響を見きわめながらのスタートになる。

 ■鉄道で

 気象庁は04年から試験的に鉄道会社やメーカーなど約300機関に速報を提供してきた。8月1日からは、まず手続きの済んだ34機関(7月27日現在)でスタートし、順次拡大していく。

 全国の私鉄で最長の営業路線距離を持つ近畿日本鉄道は、8月からテストを始め、10月からの本格運用をめざす。

 東南海・南海地震が起きた場合、三重県内で大きな津波被害が予想されることから、運転指令所(大阪市天王寺区)のコンピューターが震度5弱以上の速報を受信すると、自動的に信号を電車に無線送信し、運転士に緊急停止を指示する音声が流れる仕組みにした。

 沿線の地震計が揺れてから信号を送っていたこれまでに比べ、大きな揺れの到達まで数秒から数十秒の余裕が見込める。同社は「非常ブレーキのタイミングが早くなり、極めて効果的」と期待する。

 ■病院で

 鉄道のほかにも、電力会社や病院、自治体で運用が予定されている。

 東京都立川市にある災害医療センターでは、10の手術室に速報を知らせるスピーカーを設置した。震度4以上の揺れが予測されると、「あと10秒で揺れます」といった音声が流れる。

 手術中の医師は、メスを離したり、術部を覆ったりして作業を中断、ベッドから患者が転落しないよう防止措置をとる。麻酔医や看護師らも到達時間に応じた措置をするよう、マニュアル化された。

 同病院の堀内義仁・災害対応システム研究室長は「限られた時間なので優先順位をつけて確実に行えるようにしている。災害拠点病院で被災者を出すわけにはいかない」と話す。

 ■百貨店で

 一般の人にどう情報を伝えるかが、今後の課題だ。情報を受けてどう行動すべきかが周知されていない段階で不特定多数に知らせると、混乱が予想されるためだ。気象庁は今年度末ごろの提供を検討している。

 近鉄の場合、一般乗客への情報提供が可能になったとしても、車内放送は「緊急停止信号を受けたので停止します」などの内容にとどめ、地震には触れない方針だ。

 日本百貨店協会は、今年3月から気象庁の担当者らを招き、各店を集めた勉強会を開いている。「10秒後に震度7の地震」などと館内放送すると、客が出口に殺到する恐れもある。協会の今井成价(しげよし)常務理事によると、「地震が発生しましたがこの建物は耐震化されており大丈夫です」といった安全情報に変換して伝える方法を検討中だ。

 百貨店の中には従業員だけにわかるように情報を流して、調理場の火を消したり、陳列棚の転倒防止に備えたりすることを考える店もある。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200607290043.html