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2006年07月29日(土) 00時00分

制作戦略、資金面に課題  番組のネット配信でシンポ  東京新聞

 「インターネット・ブロードバンド配信の現状と展望」と題するシンポジウムが二十八日、東京都内で開かれた。社団法人・全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)の主催で、テレビ局や通信事業者のネット担当者らが出席。ライブドア事件の影響で「通信と放送の融合」の動きがやや失速したとも言われる中、番組のネット配信を進める上で、課題や戦略を語った。

  (小田克也、藤浪繁雄)

 テレビ局が今、頭を悩ませている課題の一つが、自社サイトで配信する番組の開発だ。

 日本テレビは六月から、ネット上の「第2日本テレビ」で、ダウンタウンの松本人志の新作コントを有料で流している。

 ダウンタウンのDVD「ガキの使いやあらへんで!!」は二年で百五十七万枚売り上げるほどの人気ぶり。日テレは、松本の新作コントを流せば、有料でもお客さんは見てくれると判断した。

 第2日テレを担当する土屋敏男エグゼクティブディレクターは、「ダウンタウンは(視聴者の)好き嫌いが激しい。広く浅くというより狭く深いクリエーター。そうした作家性の強いコンテンツがネットでは成立するのではないか」と狙いを説明した。松本にターゲットを絞り、八カ月かけてくどいたという。

 ただ、こうした例はまだ少なく、各テレビ局とも、ネットで流す目的だけで番組を制作するほど資金面に余裕はない。

 フジテレビの小牧次郎・デジタルコンテンツ局CS事業部長は、「著作権を一緒に取るなどCS放送と連動してやっている。ブロードバンド配信だけでは、制作費をかけた番組づくりはできない」。TBSの吉田尚子・メディア推進局総合企画部部次長も「現状ではもうからない」と厳しい内情を明らかにした。

 一方、通信事業者はどうか。ネット業界最大手のヤフーの動画部門を担当しているTVバンクは、直接番組を制作するよりネットの強みを生かしていく戦略だ。

 最近では、アニメ映画「銀色の髪のアギト」の製作委員会に加わってネットの配信権を押さえたり、映画の劇場公開に合わせて本編以外の映像をプロモーション的に流したりしている。

 TVバンクの中川具隆取締役COO(最高執行責任者)は、「ネットのコンテンツで地上波と張り合うことはあり得ない。あくまでこちらは補完するのが目的」と述べた。

 無料動画配信サービス「ギャオ」で飛躍的に知名度を高めたUSENの高垣佳典取締役コンテンツ事業本部長も、「テレビとウェブの真ん中にあるメディアをつくりたい」と述べており、有線放送とカラオケ事業を基盤に通信、映像コンテンツ事業を拡大する路線を継続していく考えだ。

    ◇

 今後の展開について中川氏は、「ビジネスモデルはまだ確立していない。トライアルを続ける中で成功例が出てくると思う」と述べ、テレビ局もネット事業者も試行錯誤が続くとの見方を示している。

 また番組を制作する立場から、高村裕・ATP理事は、通信と放送の融合について、「期待はあるが、BS(衛星)デジタル放送の悪夢がある。放送の新しい形といわれたが二年も持たず、今はほとんど通信販売と再放送のチャンネルになった。予算もスタート時点の四分の一だ」などと振り返り、BSデジタル放送がスタートした当時と状況が似ていることを指摘。尻すぼみに終わるのではないかとの懸念を表明した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20060729/mng_____hog_____000.shtml