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2006年07月28日(金) 00時00分

米国産牛肉 監視態勢を緩めるな 東京新聞

 米国産牛肉の輸入再々開に際し、米国は日本に約束した輸出条件を厳格に守らなければならない。農林水産、厚生労働両省は、それが順守されているかどうかのチェックに万全を期す必要がある。

 米国で日本向け牛肉のと畜・加工を行う輸出認定三十五施設の事前査察を行ってきた農水、厚労両省は二十七日、三十四施設について日米間で先月合意した対日「輸出プログラム」の順守が可能と判断し、輸入の再々開を認めた。

 残り一施設については、作業手引書の変更の遅れを理由に当面輸入を認めないことを決めた。

 「輸出プログラム」は食品安全委員会が安全確保のために定めた輸入条件を満たすのに不可欠なルールだ。それを順守できない以上当然であり、今後も毅然(きぜん)たる態度で臨まないと消費者の理解は得られない。

 というのは、二〇〇三年末、米国で牛海綿状脳症(BSE)の牛が確認されたあと、米国産牛肉の輸入を停止、昨年十二月に輸入再開したが、その直後のことし一月、わが国が「特定危険部位」(SRM)として完全除去を求めている背骨が混入した牛肉が見つかり、再度、禁輸した経緯があるからだ。

 米国は「輸出プログラム」違反があったことを認め、各処理施設に配置されている農務省検査官の再研修、輸出適格品の認定方法の厳格化などそれなりに改善した。

 だが、米国と日本とは処理方法が異なる。日本は国産牛肉と同様に米国産にも月齢二十カ月以下、SRMの完全除去を求めているが、米国内でのSRM除去の対象は月齢三十カ月以上と緩い。同じ施設で日本向けと米国内向けとを処理する以上、それらが混ざる可能性が常にある。

 これを踏まえ、わが国としては今後も水際での抜き取りや、全ロット検査、輸入業者に対する「輸出プログラム」に基づく牛肉であるかどうかの確認の徹底を求めるなど、態勢を強化・維持する必要がある。

 その過程で再び米国産牛肉に日米合意違反が見つかり、それが「輸出プログラム」の欠陥に起因することが分かった場合、輸入停止をためらってはならない。

 気になるのは、米国が来月からBSE検査の対象数を現行の一割の年間四万頭程度に減らすことだ。

 元来、日本の検査はBSE感染牛の発見、米国は感染の広がりのチェックに主眼を置くなど目的が違う。

 とはいえ、米国の検査態勢の縮小は日本の消費者の不安感を高めるだけだ。食品安全委は検査の拡大を求めていた。両省が米国の対応を静観しているのは納得できない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060728/col_____sha_____003.shtml