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2006年07月25日(火) 00時00分

ネット社会 野放し情報に歯止めを 東京新聞

 今年の警察白書は「安全・安心なインターネット社会を目指して」を特集した。犯罪につながるネット上の違法・有害情報を野放しにはできない。関係機関の連携や業界の自主規制が欠かせない。

 情報通信ネットワークが利便性を向上させていることは間違いないが、「インターネット社会の負の側面が問題となっている」という白書の指摘を深刻に受け止めたい。

 ネット上には違法・有害情報が氾濫(はんらん)している。性や暴力を強調するわいせつ・残虐画像のほかに覚せい剤などの販売情報、自殺サイト、殺人請負サイトなど、放置できないものもある。

 白書が挙げる中高生と保護者の意識調査結果から現実が分かる。中高生のうちほぼ四人に一人がわいせつ画像を見たことがあり、十人に一人が残虐画像を見ている。またほぼ百人に二人が出会い系サイトを利用したことがあるという。

 こうした違法・有害情報へのアクセスを遮断するにはフィルタリング(情報選別)ソフトがあるが、保護者のうち半数が知らない。また約三割は「子供が有害情報を見ないと思うから」などの理由でソフトを利用するつもりはないという。まず家庭できちんと手を打つよう保護者の自覚を求めたい。学校でもネットの利用について教育が必要だろう。

 こうした情報は青少年の健全育成に悪影響を及ぼすだけではない。昨年一年間に出会い系サイトの利用を通じて八百二十七人の小中高校生が児童買春犯罪などの被害者になった現実を知るべきだ。社会的にも放置できない問題となっている。

 誰でも自由に情報を発信し簡単にアクセスできるネットの特性によるものだが、野放しに一定の歯止めをかける必要があるのではないか。

 全国の都道府県警では、違法・有害情報をチェックするサイバーパトロールを実施している。違法情報の取り締まりをさらに強化すべきだ。有害情報については警察からプロバイダーや電子掲示板の管理者に削除を依頼しているが、業界が倫理基準をつくり自主規制を積極的に進めるよう望む。

 白書はネット社会の新たなサイバー犯罪に警鐘を鳴らす。昨年一年間にサイバー犯罪全体の摘発は三千百六十一件で、前年の約一・五倍になった。ネットオークションなどを利用した詐欺が目立つ。警察は手口の解明を進め、対策を急ぎたい。

 政府は昨年二月に関係省庁連絡会議を設置し、ネット上の違法・有害情報対策を検討している。さらに官民挙げて連携を強め、ネットの負の側面の改善に取り組んでほしい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060725/col_____sha_____003.shtml