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2006年07月24日(月) 00時00分

NHK、法的督促実施へ本腰 東京新聞

 NHKが、受信料の不払い者に対する法的措置の実施に向けて準備を本格化させている。本腰を入れ始めた背景には、受信料徴収に苦労している姿をアピールすることにより、政府・与党が先月、検討課題に挙げた「受信料の支払い義務化」を実現しようとの思惑もあるとみられる。ただ法的措置に批判的な世論の声もあり、NHKは実施時期を慎重に探っているようだ。 (小田克也)

 NHKは契約を結びながら、さまざまな理由で受信料の支払いに応じない世帯、事業所に対し、簡易裁判所を通じて督促する方針。この法的措置は局の経営計画に明記されており、本年度の実施は既定路線だ。

 そのためNHKは四月一日、営業局に受信料特別対策センターを設置。法的措置の対象となり得る不払い者に対し、支払いを求める文書を郵送しようとしたが、その矢先、職員のカラ出張問題が発覚。このタイミングで文書を送付すれば、「自分の局の問題を棚に上げて、支払いを迫るのか」と世論の反感を買うおそれがあることから、送付を見合わせて事実上、法的措置を封印した。

 政府は昨年末から、通信、放送改革に関する議論を本格化。六月、与党とともに改革内容をとりまとめた。この中でNHKについては、受信料支払いの義務化を早急に検討する、とされた。

 放送法を改正し、受信料の支払い義務を明記すれば、NHKは、これまで以上に強い態度で支払いを迫ることができる。橋本元一NHK会長は六日の定例会見で、支払い義務化について「これは念願だ」と思わず本音を漏らした。

 支払い義務を盛り込んだ放送法改正案は一九六六年と八〇年の二回、国会に提出されたが、いずれも日の目を見なかった。NHKにとって三度目の正直となる今回は“長年の夢”を実現する絶好のチャンス。そこで、「法的措置を実施した」→「にもかかわらず不払い者はあまり減らないし、滞納も解消しない」→「やはり放送法に支払い義務を明記する必要がある」との筋書きを考えた節がある。

 実際、政府・与党がNHK改革案をまとめた後、NHKは、カラ出張問題で延期していた、文書の発送を開始。法的措置に向けた準備に再び力を入れ始めている。

 ではいったいNHKはいつ法的措置に踏み切るのか。時期を判断する上で一つの目安になるのが、受信料の支払い拒否・保留件数(6、7月分)の速報値が出る八月中旬だ。

 受信料の支払い再開は四、五月分が四万三千件。二、三月分から半減しており、一時期見られた受信料の回復基調は後退している。この傾向が強まり、八月中旬の数値が思わしくなければ、法的措置に踏み切る可能性が高まるのは間違いない。

 識者で構成するNHK“約束”評価委員会(委員長、辻正次・兵庫県立大教授)が六月二十七日に公表した報告書によれば、法的措置の賛否について視聴者アンケートを実施した結果、支持するとの回答が54・8%、不支持が42・8%。

 ひとつやり方を間違えれば賛否が逆転して、世論の風当たりが強まる可能性もあるだけに、NHKは実施の時期を慎重に検討しているとみられる。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20060724/mng_____hog_____000.shtml