悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年07月23日(日) 00時00分

被爆者の声、証言をHPに 公開に協力の輪朝日新聞

 広島、長崎の被爆者約千人の肉声を記録してきた元放送記者、伊藤明彦さん(69)=写真、調布市=が、284人分の証言を収めて作ったドキュメンタリー作品「ヒロシマ ナガサキ 私たちは忘れない」が、ホームページ(HP)で公開された。全8時間40分を音声で聞けて、全文を活字で読める。HPは埼玉県所沢市のコピーライターらが無償で作った。作品を聞いた人々から、協力の輪が広がっている。

 東京出身の伊藤さんは小学生の時に長崎市へ引っ越し、大学卒業後は長崎放送の記者になった。被爆者が体験を語るラジオ番組を68年に始めた。2年後に退職し、その後は「被爆者の声を記録する会」を設立。各地の被爆者を訪ね、証言を収録してきた。

 作品は、これまでに集めた声の中から284人分を選んだ。1人1、2分のエピソードで、原爆投下前夜から1カ月後までの時間の経過に合わせてリレーされる。CD9枚組み(計8時間40分)の大作だ。1月に完成させ、貯金をはたいて760セットを学校などの団体や個人に贈った。

 4月、「CDの寄贈先を募集している」と伝える新聞記事を読んだ人の中に、コピーライターの古川義久さん(51)=埼玉県所沢市=がいた。古川さんは長崎市出身。父は原爆投下直後の広島に救助に入り、被爆した。伊藤さんの「記録する会」にはHPがないことを知り、「僕がHPを作るので、作品を公開しませんか」と持ちかけた。

 古川さんの中学、高校時代の仲間7人が協力し、4月末から6月始めにかけて、9時間近くのCDすべてを文字に起こした。証言の中で「牛蒡(ごぼう)剣」(銃剣の俗称)「コンタツ」(ポルトガル語でロザリオの意味)など、なじみの薄い用語には説明用のHPをリンクさせた。

 古川さんは言う。「伊藤さんは人生のほとんどをかけて、被爆者の声を記録してきた。本来なら国などがするべき仕事。私たちは、伊藤さんに『記録を残してくれてありがとう』と言うだけでは、すまされない」

 CDを聞き、米国の人にも聞いてもらおうと、「英訳したい」と申し出る女性も出てきた。

 「私は素材を残せた。これからは若い人たちが、様々な形で伝えていってくれれば、それが一番うれしい」と伊藤さんは話す。

 HPは、「被爆者の声」(http://www.geocities.jp/s20hibaku/)。

http://mytown.asahi.com/tama/news.php?k_id=14000000607240003