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2006年07月23日(日) 01時51分

7月23日付・読売社説(2)読売新聞

 [警察白書]「ネット社会化に伴う負の側面」

 パソコンや携帯電話が普及して、インターネットを利用する人が増えている。確かに便利にはなったが、負の側面も見過ごすことができない。

 こんな観点から、今年の警察白書は「安全・安心なインターネット社会を目指して」という特集を組んだ。

 ネットを利用していて、犯罪の被害にあった人や不愉快な思いをした人は少なくないだろう。白書でも、深刻な状況を裏付けるデータを示している。

 ネットを利用したり、コンピューターを対象にした犯罪は総称して、サイバー犯罪と呼ばれる。このサイバー犯罪の昨年の検挙件数は3161件だった。前年より52%増え、過去最高である。

 警察が受け付けたサイバー犯罪の相談も、昨年は8万4173件に上り、やはり過去最高だった。この5年間で5倍近くも増えている。

 だれでも、情報の送受信が簡単にできる。互いの顔が見えず、犯罪の痕跡が残りにくい。「ネットは極めて好都合な犯行の手段」だと白書は指摘する。

 適切な対策を打っていかなければ、事態はますます悪化する。これは警察ばかりでなく、企業や個人の利用者にも共通の認識と言えるのではないか。

 例えば、ネット上には違法な情報や有害情報があふれている。覚せい剤などの販売情報、爆発物の製造や運転免許証の偽造方法、自殺に誘うサイト、人を中傷する情報もある。ネットを利用した架空請求や悪質商法、児童買春、恐喝などの被害も後を絶たない。

 このような情報に子供もさらされている現状を、白書は特に憂慮する。

 不正にアクセスし、暗証番号などの銀行取引情報を入手して他人の口座から現金を引き出す。実在する企業を装って電子メールを送り、やはり不正に個人情報などを入手する——スパイウエアやフィッシングと言われる、目新しいカタカナ用語の犯罪だ。これも脅威である。

 高度な技術を駆使した犯罪が次々と襲う。海外から侵入するケースも多い。警察にも、まだ捜査技術が確立していない分野だ。専門捜査員の育成、不正を追跡するサイバーパトロールなど対策は施してきたが、さらに態勢を整え、能力を高めていくべきだ。

 白書は「産業界、学界、関係機関、ネット利用者と警察が連携を強化」することの必要性や、子供の保護者の役割の大切さにも言及している。

 目覚ましいネットの進展は、社会生活を大きく変えてゆくだろう。負の側面をできるだけ排除し、健全なネット社会を構築していかねばならない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060722ig91.htm