悪のニュース記事

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2006年07月19日(水) 01時51分

7月19日付・編集手帳読売新聞

 スペイン語でハトを「パロマ」という。ガスコンロなどで知られるパロマ(本社・名古屋市)の社名もそこから採られている◆鳥の名前を用いることに決まり、何の鳥にするかを巡って社内で議論が交わされた。本間之英(ゆきひで)さんの「社名の由来」(講談社)によれば、ハヤブサも候補に挙がったという◆戦後、消火器をつくっていた時期があり、「すばやく飛びかかって火を消す」イメージにはハヤブサがぴったりだったのだろう。選考で漏れたとはいえ、事故の火種を迅速に消し止めるハヤブサの心まで捨て去ることはなかろうに◆パロマの瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故でこの21年間に少なくとも20人が死亡していた。不完全燃焼が起きるような改造がなされていたという。誰がなぜ改造したかは明らかでない。パロマは事故を公表してこなかった◆不正な改造のみならず製品自体の劣化にも事故の原因があったというが、自社製品で多数の死者が出ているのに利用者に黙ったままでいられる会社の神経も、ただ漫然と報告を受けてきた経済産業省の神経も、ともに理解しがたい◆「鳩(はと)のごとく素直に、蛇のごとく慧(さと)かれ」とは新約聖書の一節だが、事故の火種を消し止める際の要諦(ようてい)でもある。最初の社長会見では犠牲者に謝罪の言葉もなかった。ハヤブサもハトもいない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060718ig15.htm