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2006年07月16日(日) 00時00分

母の思い通じ再捜査 パロマ製ガス湯沸かし器事故 中日新聞

 多くの死傷者を出したことが発覚したパロマ工業(名古屋市)のガス瞬間湯沸かし器の事故で、真相究明に動きだす大きなきっかけは、息子の顔を見ることができず、警察に写真の有無を問い合わせた母からの1本の電話だった。

 1996年3月、松江市の自営業山根健二さん(57)の長男敦さん=当時(21)=が東京都港区の一人暮らしのマンションで遺体で発見された。ギタリストを目指し高校中退後に上京。仕事も軌道に乗った矢先の訃報(ふほう)だった。赤坂署は死因を「心臓発作」と説明。発見が死後1カ月後ということもあり、母の石井聡子さん(53)は敦さんの顔を見ることができず「母として息子に申し訳ない」と後悔し続けた。

 それから10年が経過した今年2月、悩んだ末「息子の写真を見たい」と署に問い合わせた。同時に監察医務院の医師にも連絡をとると「通常では考えられない高濃度の一酸化炭素中毒だった」との説明を受けた。「息子は病死じゃない」。署に何度も電話をかけ、真相究明を訴えた。

 「もう一度調べてみます」との回答に期待をかけていた今月初め、「湯沸かし器が原因である可能性がある」と、再捜査の進展を告げる連絡があった。

 そして、15人の中毒死が発表された14日。再び警察からの電話で、原因をはっきりと知らされた。敦さんの死亡から10年。「まさか」と思った直後に「不正改造だ」と自らの責任を否定するようなパロマ側の記者会見をテレビで見た。

 これまでも謝罪は一切なく「会社の説明を聞いて憤りが頂点に達した」と石井さん。一方で「息子が死んだときにちゃんと捜査していれば、その後の事故もなかった」と警察への怒りも見せる。
 

◇訪問点検始める

 パロマ工業(名古屋市)が製造したガス瞬間湯沸かし器で計15人が死亡していた問題で、同社は15日、点検対象7機種が設置されている一般家庭などへの訪問点検を開始した。原因が特定されていない事故の究明を急ぐため、社内に調査委員会を設置した。同社のコールセンターには、午後9時までに969件の問い合わせがあり、対象7機種の利用者とみられるものは268件あった。問い合わせに対して即日の点検を希望する家庭の一部に、各支社支店の営業部員らを派遣し、配線の改造がないか点検を実施した。18日まで24時間態勢で問い合わせに応じる。

 また、同省に17件の事故発生を指摘された今月11日以前に同社が把握していた発生件数を6件から7件に訂正した。


http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20060716/mng_____sya_____003.shtml