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2006年07月15日(土) 03時26分

「なぜ今になって」 パロマ事故遺族朝日新聞

 15人の命を奪ったのは瞬間湯沸かし器だった。いずれも80年代に製造された古い機種だ。製造元のパロマ工業(名古屋市)は「中毒事故が起きたのは安全装置を不正改造したものだけ」と釈明した。最初の死亡事故から20年以上たっての発覚で、同社から謝罪の言葉もないことに、疑問の声があがった。

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 東京都新宿区新宿7丁目の4階建てマンションの一室に住んでいた韓国籍の夫婦2人が01年1月4日に一酸化炭素中毒で亡くなった事故も、パロマ工業のガス瞬間湯沸かし器の作動不良が原因だった。マンションの管理人の女性(84)は「パロマから事故後まったく連絡もなかったのに、今になってこんな騒ぎになって」と驚いた。

 マンションを所有する女性(65)は事故当時、警察から連絡を受けて駆け付けた。2人の遺体が運び出されるところだった。「あの時は、部屋の換気が悪かったのが原因だと思っていた」

 消防の指導でマンションの各部屋の換気口を増やしたり、湯沸かし器を取りかえたりした。事故の影響で、家賃も半額に下げざるを得なかったという。

 北海道内に住む女子高生は95年1月、アパートの自室で入浴中に一酸化炭素中毒になり、一時、意識不明になった。脳に重い後遺症が残ったとして、家族は損害賠償を求める訴訟を起こした。

 関係者によるとパロマは当初、責任がないとの姿勢だった。そのため、湯沸かし器の販売業者や取り付け業者を相手取った。だがその後、警察が保管していた事故を起こした湯沸かし器を入手でき、メーカーのパロマを被告に加えた。訴訟は結審直前にパロマが態度を軟化させ、和解に応じたという。

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 ガス工事業者らからは、湯沸かし器の不正改造の実態を指摘する声がある一方、改造を疑問視する声もあがった。

 名古屋市のガス工事業者(37)は、パロマの製品ではないが、7〜8年前、ガス湯沸かし器の三つの安全装置のうち一つが切られていたのを見たことがあるという。

 この業者は「改造は賃貸アパートで多いと聞いた。大家が費用のかかる大幅な部品交換を嫌がるのではないか。10万円くらいかかるところが、改造なら数千円ですむこともある」と話す。

 一方、北海道恵庭市のガス修理業者によると、湯沸かし器の電気系統が複雑になった最近はメーカーのサービス店が修理することがほとんど。かつては今回問題になったタイプの機種で「安全装置が利き過ぎてすぐお湯が出なくなる」といった修理の依頼を受けたが、「部品の交換などで対応した。安全装置の働きを悪くするような修理は考えられない」と話す。

http://www.asahi.com/national/update/0715/TKY200607150035.html