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2006年07月12日(水) 15時12分

<国会議員資産公開>時代遅れ「ザル法」 罰則もなし毎日新聞

 とかく「ザルだ」と批判される国会議員の資産公開法。来年で制定15年だが、ほとんど改正もない。法の想定外の金融商品も現れて、ザルの目はますます粗くなっている。報告書に書いていない資産はどれだけある?【青島顕】
 国会議員の資産公開は93年に始まった。国会議員は当選した際に土地・建物、預貯金、有価証券、貸付金、借入金などの「資産等報告書」を出し、その後は毎年、増加分だけを書く「資産等補充報告書」▽1年分の収入を記す「所得等報告書」▽兼職や顧問先を書く「関連会社等報告書」を提出する。
 ただ、家族名義の資産や普通預金が公開の対象外のうえ、うその報告への罰則はない。
■想定外の投資
 昨年初当選し、「貸付金2330万円と自動車1台」と報告した平将明衆院議員(自民)は「資産公開は実態を表していない」と言い切る。自身の資産の多くが法の対象外だからだ。
 「社外取締役をしている日本振興銀行の株を持っているが、未公開株だから書かなくていい。選挙で母親に借金をしたが『親族からの借入金は除く』とある。普通預金も対象外。金利が低いから(公開対象の)定期預金にする人はあまりいないのでは」。さらに「(公開対象の)絵画や彫刻を持っている人なんて、今どきほとんどいない」と現実離れの実態を指摘する。
 最近、登場した金融商品を対象に加える動きもない。村上ファンドへの出資が明るみに出た国会議員は松井孝治参院議員(民主)一人だが、私募ファンドへの出資は法も想定していなかった。
 元都市銀行支店長の作家、江上剛さんは「法が時代についていっていない。国会議員の資産の状況を『国民の不断の監視と批判の下におく』という法の目的にかなうようにすべきだ」と語る。
 さらに対象は、閣僚の資産公開よりもかなり狭い。ゴルフ会員権一つとっても、国会議員は「譲渡できるもの」に限っている。小坂憲次文部科学相は閣僚の立場では六つと報告するが、国会議員の立場となると四つ。秘書は「一代限りの名門コースが二つあるからだが、制度がばらばらでは、あらぬ疑いをもたれかねない」と言う。
■公開に拒否感
 そもそも資産公開法はリクルート事件や佐川急便事件への厳しい批判に対し、政治を通じて蓄財していないことを示す第一歩として、92年12月に議員立法で成立した。
 98年に故新井将敬衆院議員が、04年に倉田寛之参院議長(当時)が借金を過少申告していたことが発覚し、罰則を設けるなどの改正論議が起きたこともある。だが、関心が薄れるとともに、立ち消えに。元本だけで4億円以上の借金がありながら報告していない倉田氏は、05年分の今回も修正しなかった。
 「資産公開でさらし者になるのはどうか。報告対象を拡大しても、闇にもぐるだけ」。取材の際、秋元司参院議員(自民)は不満を口にした。公開そのものに拒否反応を見せる議員は少なくない。
 国会自身が、報告を見る国民に配慮する動きもない。インターネット公開どころか、閲覧には国会まで出向かねばならず、コピーも不可。今回の公開初日だった今月3日朝、参院の公開室は「まだ、閲覧者が来ていない」と、鍵がかかったままだった。同僚記者が行った衆院の公開室では他の閲覧者を見かけなかったという。昨年1年間の衆院の閲覧者は約150人、参院は約50人。多くは報道関係者だという。
 ■公開対象にならない主な資産
・家族名義の資産
・定期でない普通預貯金
・未公開や資本金1億円未満の株
・私募ファンドへの出資
・親族からの借金
・返した借金
・貸付金の利息
・譲渡できないゴルフ会員権
(毎日新聞) - 7月12日15時12分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060712-00000056-mai-pol