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2006年07月05日(水) 03時04分

<JRA>94%が随意契約 ファミリー企業12社と毎日新聞

 特殊法人・日本中央競馬会(JRA、東京都港区)が05年度にファミリー企業12社に発注した清掃や警備などの契約金額のうち随意契約が94.8%に達していることが分かった。12社の社長ら51人がJRAからの「天下り」だった。随契率が平均約8割に上るとして問題が指摘されている中央省庁と比較しても、その高さは際立つ。政府が中央省庁と公益法人との随意契約削減に取り組む中、馬券(勝ち馬投票券)の収益を運営経費に充てているJRAについても論議を呼びそうだ。
 JRAは競馬法などに基づき、刑法の例外として地方自治体とともに競馬の開催が認められている。日本中央競馬会法の規定では、売上金の75%を馬券の払戻金、10%を畜産振興などの目的で国庫に納付、残り約15%が競馬開催のための運営経費に充てられる。この運営経費の剰余金も国庫納付金や畜産振興の助成金となっており、運営経費が割高になれば、国庫納付金などが減ることになる。
 JRAによると、05年度の契約総額は1893億円。うち随意契約は1288億円(68%)だった。「日本トータリゼータ」などJRA子会社4社と、JRAとの取引に経営を依存する「日本競馬施設」など関係会社8社の計12社に限ると、契約額は711億円に上り、随意契約は674億円(94.8%)を占めた。また05年10月現在で12社の役員67人中、社長全員を含む51人がJRA役職員からの「天下り」だった。
 JRAの収入は97年に4兆円を超えたのをピークに年々減少。05年度は2兆9025億円だった。01年12月に閣議決定した「特殊法人等整理合理化計画」で「一般競争入札等の大幅拡大と、関係会社に対する委託費の削減」を求められた。だが契約全体の随契率は02年度の72.8%から4・8ポイントしか減少せず、12社との随契率も98.2%(02年度)から3.4ポイントの低下にとどまっている。
 05年12月の閣議決定でも「公正・中立性の確保上支障のない契約については、10年までにすべて競争入札に移行させる」と求められていた。
 JRA経理部の話 公正確保が前提になる競馬興行の特殊性のため、実績とノウハウを持つ信頼性のある業者との随意契約が多いが、閣議決定の趣旨に沿うべく精査・検討している最中だ。
【斎藤良太】
 ◇解説…契約見直し徹底を
 ファミリー企業との随意契約率の高さが明るみに出たJRAは「軽々に競争入札に移行して興行に影響が出た場合、競馬離れにつながる」と反論。そもそも「国の助成、補助を受けず、不安定な馬券収入に依拠し独立採算で運営しており、国の機関などとは性格が違う」と主張する。
 しかし、刑法で禁じられている賭博行為を運営できる特権があるのは、JRAが「畜産振興に寄与する」との事業目的に基づき、馬券の売り上げの1割以上を国庫に納付しているからだ。競馬ファンの「寺銭」はJRAが徴収する「税金」とも言え、その運用方法についても、国の予算と同等の透明性と公正さが求められる。「天下り」先のファミリー企業の優遇こそファンの信頼を失い、競馬離れを招くのではないか。
 かつては旧道路4公団とファミリー企業との随意契約が問題となった。最近では、中央省庁の随意契約のうち、公益法人と天下り先企業への発注額が6割を占めたことなどが判明し、政府は削減に乗り出している。
 割高な契約による無駄遣いは、結局、国民の利益に反する。JRAはこれまで以上に契約を見直す必要がある。【斎藤良太】
(毎日新聞) - 7月5日3時4分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060705-00000021-mai-soci