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2006年07月05日(水) 10時34分

「ヤフーに追いつけ」は“卒業”——ライブドアポータルがリニューアルITmediaニュース

 ライブドアのポータルサイトが7月3日、リニューアルした。従来は「Yahoo!JAPAN」を強く意識したデザインだったが、新ポータルはデザインを一新。ブログやソーシャルネットワーキングサイト(SNS)などユーザーが作るメディア、いわゆる「CGM」(Consumer Generated Media)を前面に押し出した。ヤフーを追いかけ、巨大ポータルを目指していた“ホリエモン時代”の幕を引き、次世代のポータルのビジネスモデルを模索する。

 新ポータルは、「ホーム」「ニュース」「ブログ」の3種類をタブで切り替えられる構造。ホームは従来のポータルと似た作りだが、ニュースがサイトの最上部に出てくるようにするなど“Yahoo!的”なデザインから脱し、独自性を出した。

 「ニュース」は、最新ニュースをテーマ別に掲載して随時更新。マーケット情報もチェックできるようにした。「ブログ」はその名の通り、ブログの情報に加え、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「フレパ」、画像共有サービス「livedoor PICS」など、同社のCGM系サービスから注目の情報を逐次ピックアップして掲載する。

 「以前はYahoo!型の総合ポータルを目指していたが、アクセスが伸びなかった」と同社の伊地知晋一副社長は語る。Yahoo!型とは、プロが編集したコンテンツを一方的に発信するポータル、という意味だが、「情報量・編集力ともにヤフーの強さに全く及ばない」と認める。

 編集コンテンツのページビュー(PV)が伸び悩む一方、CGM系は急激に伸びているという。ライブドアサイトへの全アクセスのうち半分、月間約10億PVがブログから。次にアクセスが多いのが、フレパやPICSなどブログ以外のCGMコンテンツという。

 同社は「ヤフーと同じ手間ひま、コストをかけて編集コンテンツを伸ばすより、今伸びているCGMをさらに伸ばした方が効率がいい」と判断。CGMへの注力を決めた。最終的には、CGMに絞ったポータルを構築したい考えだが、今回のリニューアルでは「折衷案」として、従来型の「ホーム」と、ニュースを集めた「ニュース」を残した。

 最初からCGM一本に絞れなかったのは、CGMには大企業の広告が入りにくく、ビジネス化しにくいため。事件後、同社への広告出稿は激減したが、それでもポータルやニュースの方が広告メニューとして人気が高いといい、この2つで広告収入を稼ぎながら、CGMのビジネスモデルを模索する。

●CGMのビジネス化は「ノーベル賞もの」

 「CGMの広告ビジネスがきちんと成り立っている例は、世界を見てもほとんどない。これを考え付いたらインターネットのノーベル賞もの」。伊地知副社長はCGMビジネスの難しさと直面しながらも、あえて挑戦していきたいと語る。

 ブログなど、ユーザーが自由にコンテンツをアップできるCGMは玉石混交。どんな内容が掲載されるか予測が立たず、著作権など権利侵害が起きるケースも多い。広告主に不利な内容の意見が載る可能性も高く、ブランドを大切にする大企業は広告を出したがらない。

 同社はまず、CGMと相性のいい、検索キーワード広告やコンテンツマッチ広告に注力する計画。Googleの「AdSense」や、サイバーエージェントの「ブログクリック」のように、テキストを解析し、それに合った広告を効率的に表示できるシステムを取り入れる。これらの広告主は中小企業が中心で、個々の広告費は小さいが、数が集まるため「十分に大きな市場がある」という。

 ただ、コンテンツマッチ広告にも課題は多い。第一は、マッチングの精度が低く、コンテンツとは全く関係のない広告が表示されるケースも多いこと。「現在は、テキスト中のキーワードを解析して関連する広告を出す仕組みだが、構文を解析しないと精度は上がらない」。同社は、構文解析技術を2年前から研究しているといい、独自のコンテンツマッチ広告システムを構築する可能性もあるという。

 静止画や動画のコンテンツマッチ広告技術の確立も課題だ。日本語音声が付いた動画なら、音声解析技術でテキストに変換すれば、従来のコンテンツマッチ広告と同じ手法が使えるという。だが、音声なしの動画や画像のマッチングは実用レベルの技術がなく、今後の研究課題だ。

●広告主の意識改革も

 広告予算で最も大きいのは、大企業のブランディング広告。これを獲得できればCGM広告の市場は一気に広がるが、自社に不利な意見が書かれている可能性があったり、権利侵害しているコンテンツも掲載されているCGMは、広告媒体として人気が低い。

 伊地知副社長は「広告主や商品について不利な発言をしない媒体に出稿するという、マス広告的な発想はネットには合わない」と語り、広告主側の意識を変えていきたいとする。

 「ネットユーザーは、情報を取捨選択できる人たち。100人がすばらしいと絶賛する商品よりも、80人はほめるが、20人はけなす商品の方がたくさん売れるのではないか」

 だが「100人が絶賛する」マス広告の手法に慣れた広告主の意識改革には時間がかかるとの見方。「1年後に意識改革が進んでいれば、早いほうだろう」

 CGMから違法コンテンツを追い払い、媒体としての信頼性を高めることも課題だ。ユーザーを啓蒙したり、技術を活用することで、違法コンテンツを100%なくすことは難しくても「リアルの世界の著作権侵害と同じ程度には抑えられる」という。

 「livedoor Blogは、スタッフが巡回して違法コンテンツを監視したり、ユーザーからの通報を受け付けるなど努力してきた。他の事業者よりはうまくやってきたと思う」

 CGMと人の手による編集を組み合わせて媒体価値を上げる、という策も検討する。例えば、あるテーマについての優良ブログのみをピックアップしたポータルページを作り、ユーザーにとって有益かつ、広告主も安心して広告を出せるサイトにする——といったアイデアだ。

●タグを横串に 動画共有は「検討中」

 日本最大級のユーザーを持つブログをベースに、SNSやPICS、Wikiなど自社サービスを組み合わせ、タグで横串を通してメディアを作っていく。

 SNSは、各ユーザーのプロフィールページ、という位置づけ。各サービスと連携し、ユーザーの顔が見えるメディアにする。タグは全CGMに付けられるようにする計画で、1つのタグに関して、テキストや写真などさまざまなソースから情報を得られるようにする。

 昨年から同社は、WikiやQ&Aサービス「knowledge」、PICS、ソーシャルブックマークなど、立て続けにCGM系新サービスをスタートした。あらゆるジャンルのCGMを入れる“箱”はそろったという認識で、新サービスのリリースは「そろそろ終わり」という。

 YouTube型動画共有サービスについては「未定」としながらも「やるとすれば、PICSを動画対応にする可能性は高い」という。ただ、コストとメリットのバランスを考え、慎重に検討していきたいとしている。

 「事件の影響でポータル事業は厳しい状態だが、早晩に収益化したい」。今後はCGM同士の連携とビジネス化に注力し、Web2.0時代の新しいビジネスモデルを模索していく。


http://www.itmedia.co.jp/news/
(ITmediaニュース) - 7月5日10時34分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060704-00000042-zdn_n-sci