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2006年06月26日(月) 15時03分

<地上デジタル放送>危機感あおり架空請求、3県で230件毎日新聞

 地上波テレビ放送のデジタル化に便乗した架空請求詐欺が、各地で出ている。公的機関を装い、架空の「アンテナ切り替え工事費」などを振り込むよう求める手口だ。デジタル放送受信地域の拡大に伴って増える恐れがあり、総務省などが注意を呼びかけている。【柴田真理子】
 同省などが、この1年間に受けた被害相談は、岩手、埼玉、三重3県で計約230件。
 岩手では「NHKより地上デジタルテレビ放送についてのご案内」と題した文書が民家に届き、アンテナ工事費を請求された。「今なら特別モニターとして費用の3分の2を総務省とNHKが負担する」と、架空の助成話を提示。残りの1万750円を振り込むよう求める手口だ。文書にはNHKと総務省のマークを使い、問い合わせ先も記しているが、偽物だった。
 埼玉では東京都内の架空の会社名で「デジタル放送接続料金請求書」が届き、2万9800円の振り込みを請求された。三重では存在しない「日本放送波管理局」名で「アナログ放送波中止のお知らせ」のはがきが届き、連絡先に電話すると工事費を請求される仕組みだった。
 また、大阪府消費生活センターによると、同府内で80歳代の女性がデジタル受信工事を装った業者に、33万円の防犯カメラを売りつけられる被害があった。
 地上デジタル放送は03年に首都圏で始まり、順次エリアを拡大。2011年7月には現在のアナログ放送が終わり、デジタル放送に完全移行する。しかし、架空請求の多くは「来年からアナログ放送は映らなくなる」などと危機感をあおっていた。総務省地上放送課は「とにかく不審に思ったら相談を」と話している。相談は同省の「地上デジタルテレビジョン放送受信相談センター」(電話0570・07・0101)。
 ◇解説 背景に国と業界の対応の遅れ
 地上デジタル放送絡みの架空請求詐欺の背景には、「いつまでに」「どうしたら」デジタル放送が見られるのかを視聴者に伝え切れていない、国と関係業界の対応の遅れがある。
 2011年7月のアナログ停波は01年に国会で決まったが、その認知度は5年を経てまだ32%(今年3月、総務省調査)にとどまる。デジタル化後は電波の送信周波数や情報量が変わるため、少なからぬ世帯でアンテナや共同視聴設備の更新が必要になるが、その認知度が32%を大きく下回るのは間違いない。
 詐欺集団は、この情報不足につけ込んでいる。送りつけられる文書は、アンテナ設備交換の必要性など一部事実を含んでおり、視聴者を戸惑わせる。アナログテレビでも専用チューナーなどを取り付ければ視聴可能で、アンテナ工事も全世帯で必要になるわけではないが、説明不足で「わが家はどうなのか」が分からないのだ。
 デジタルテレビの普及率はまだ総数の約1割。このままでは、停波直前に機器購入やアンテナ工事の申し込みが殺到しかねず、混乱が起きれば、詐欺集団の思うつぼだ。そこに乗じた架空請求や高額工事を未然に防ぐには、各地で受信説明会を開くなど、周知活動を徹底するしかない。【柴田真理子、潟永秀一郎】
(毎日新聞) - 6月26日15時3分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060626-00000050-mai-soci