2006年06月13日(火) 13時03分

芝のエレベーター事故死：区住宅公社の廃止も−−港区長会見　／東京（毎日新聞）

　◇「大きな判断材料に」
　「シティハイツ竹芝」の圧死事故で、港区の武井雅昭区長は１２日の定例会見で、同マンションなどを管理する区住宅公社について、廃止も視野に入れて検討する意向を明らかにした。公社の指定管理解除では、「指定を続けることが区民の信頼を得る上で適切なことかを考え、私自身が判断した」と説明。公社の存続については「今後公社全体の業務のあり方を検討していく上で、今回のことは大きな判断材料の一つ」と強調した。
　また区長は事故について「区民が利用する施設では、あってはならない」と述べ、改めて謝罪した。
　同公社が区から管理委託されている住宅は区営、区立、特定公共賃貸住宅、障害者向け、高齢者向けの５種２０施設、計８２０戸に上り、同公社の中心業務になっている。このため、区の指定管理解除は事実上の公社解体につながり、区はその影響や既存施設の管理主体も検討する。
　◇残り１基も停止−−住民から不満、要望
　一方、区は１０、１１日に「シティハイツ竹芝」の全戸を対象に聞き取り調査を実施した。住民からは不満や要望が多く寄せられたが、区は「代替住宅への一時転居をはじめ住民の意向には十分応えていく」としている。
　１２日午前０時からは居住者用エレベーター２基のうち残り１基も安全確認のため停止した。７階までは区の福祉施設「ヒューマンプラザ」用の３基のエレベーターを利用できるが、区立の障害者住宅や一般住宅などがある８〜１５階までは階段を使わなければならなくなった。
　このため、区は母子や女性のため７階にベビーカー置き場と靴置き場などを設置した。階段の昇降で気分が悪くなる住民のため、上層の各階に飲料水やイス、ペーパータオルも置いている。
　また「小学生には毎日の階段の昇降は負担が大きい」との指摘から、児童の様子について保護者から報告などを求めるように各小学校に通知し、家庭訪問も予定している。塾通いの児童らのために１階にランドセル置き場もつくった。
　このほか、健康上の理由から通勤などに支障をきたすと訴える１世帯にホテルを確保し、今後も住民の要望に応じるという。また長期にわたる場合、代替住宅移転も「区立住宅の空き室が１８戸あり対応できる」とした。
　「昇降が困難」という乳幼児連れや車いす利用者の昇降は区職員が個別に支援するという。【窪田千代】

６月１３日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060613-00000112-mailo-l13