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2006年06月12日(月) 15時08分

手話で勧誘、聴覚障害者2億円被害朝日新聞

 東京、山梨、千葉、埼玉などに住む聴覚障害者が、東京の福祉関連会社社長らから「高い利息を払う」ともちかけられ現金を預けたものの、返金されない事態になっている。社長らは、手話を使って勧誘していたとされ、少なくとも30人が被害を訴え、総額2億円以上にのぼるとみられている。山梨では被害者の会が告訴の準備を進めている。

 勧誘したのは、東京都港区にある福祉・介護機器販売会社の社長や社員。関係者によると、社長らは数年前から、首都圏の聴覚障害者らに「600万円預けたら、月3万円の利息を払う」などと勧誘して金を集めた。ところが、利息分が振り込まれたのは最初の1、2回だけで、その後は催促しても先送りされるケースが多いという。

 社長や社員は手話を駆使。東京都に貸金業登録して社長が代表を務める「パラダイスプランニング商会」の登録証を示し、「安心して預けて欲しい」と勧誘。金を預けると、社長名や商会名の入った借用書を渡されたという。

 2300万円を預けた山梨県の50代の男性は昨年3月、「いい利息が入る話がある」ともちかけられた。だが、1カ月分の利息として11万5000円が2回振り込まれた後は振り込みが途絶えた。再三、メールで返金を催促しても、先延ばしにされているといい、「手話がうまかったので信用してしまった」と話す。

 1000万円以上を預けた夫婦は「銀行の金利も低いので、つい誘いに乗ってしまった。だまされたという気持ちでいっぱいだ」と憤る。

 山梨県の9人は今月、被害者の会を設立。近く、被害対策弁護団も結成される。7月にも、詐欺と出資法違反(預かり金の禁止)容疑で社長を告訴する方針だ。

 社長の説明によると、約70人から金を集めたうち、50人ほどの総額2億円以上の返金が滞っている。集めた金は、神奈川県内で経営していた高齢者福祉施設の運営費にあてたという。この施設は、運営がうまく行かなかったとして、4月に売却された。

 同社長は「聴覚障害者の身内がいるので、手助けになればと思い、仕事で知り合った方らから金を預かった。施設を売った金はほとんど借金の返済にあてたので、手元に残っていない。9月以降に順次、絶対に返金するつもりだ。詐欺ではない」と話している。

  ◇  ◇

 同社長らによる勧誘をめぐっては、東京都の聴覚障害者の夫婦が、預けた2000万円が返金されないとして4月、社長らに損害賠償を求めて提訴。社長らが欠席したまま、5月に夫婦の主張を認める判決が出ている。埼玉や千葉などの聴覚障害者による訴訟も2件あり、同様に原告が勝訴している。

 民事訴訟を担当した都民総合法律事務所(ファクス03・3357・0297、電話03・3357・0277)で被害相談を受け付けている。

http://www.asahi.com/national/update/0612/TKY200606120242.html