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2006年06月11日(日) 11時07分

原因はブレーキ?安全装置? 特定へ資料分析 警視庁朝日新聞

 東京都港区の公共住宅(23階建て)で、男子高校生(16)がエレベーターに挟まれ死亡した事故は、10日で1週間が過ぎた。警視庁は、エレベーターの動きを制御するコンピューターやブレーキの何らかの不具合が事故につながった可能性があるとみて、製造元のシンドラーエレベータやメンテナンス業者、住宅を管理する住宅公社などから不具合報告書などを押収し、分析を始めた。保守・管理に問題があったのか、本体の構造上の欠陥なのか——。刑事責任追及に向けた捜査が続く。

 ●ブレーキに不具合?

 ブレーキの不具合が疑われるのは、電源を切るとその場にとどまるはずのエレベーターが、生徒救出後にそのまま上昇し始めたためだ。

 通報を受け、駆けつけたメンテナンス業者は、まず機械室の主電源を切った。東京消防庁のレスキュー隊員がエレベーターの床と12階の天井の間に挟まれている高校生を外に出し、すき間を広げる工具を取り外すと、エレベーターは上昇を始め、徐々に速度を上げていった。

 エレベーターのかご部分は、最上階の衝突止めにぶつかり、かごをつるしていたワイヤが外れた。

 警視庁の検証で、事故機を制動するブレーキパッドが、隣接の同型機に比べすり減っていたことや、ブレーキ部分に付くはずのない油が付着していたことが判明。ブレーキが滑りやすくなっていた可能性が浮かんだ。

 この事故機では04年11月、急停止するトラブルが発生。シンドラーエレベータは当時、「ブレーキの接触に不具合があった」とする報告書を住宅公社に提出している。

 ●安全装置・制御盤

 一方、高校生が降りようとした12階に到達するまではエレベーターは正常に稼働しており、ドアの開閉と連動する安全装置の動きを制御するコンピューターに不具合があった疑いは消えない。

 事故機は12階で扉が開き、生徒が自転車にまたがったまま後ろ向きで降りようとする途中、全開のまま上昇を始めた。

 エレベーターは、乗り場側とかご側の双方の扉が完全に閉まったことを感知してから、動きを制御するインターロックが解除され、動き出す。

 東京都八王子市の公営ホールでも4月、同社製のエレベーターが扉が一部開いたまま動き出すトラブルがあった。同社は、「(扉の開閉を制御する)基板に不具合があった」として交換した。

●責任の所在は

 警視庁は事故後、ブレーキ部品を、スイスのシンドラー社本部から取り寄せ、事故機に取り付けた。週明けにも稼働させ、事故につながる不具合がどこにあったか再現を試みる。

 港区と業者が結んだ契約書などによると、ブレーキパッドの整備はメンテナンス会社の点検項目に含まれる。シンドラー社側は、昨春から保守・点検を請け負っていないことを強調し、メンテナンスに起因する事故の可能性を示唆している。

 一方、制御盤については、昨年度に保守・点検を請け負った日本電力サービスが取材に対し、「機械のシステム、ソフトの問題で製造元にしか分からない」と話す。

 事故後、シンドラー社製エレベーターが扉が開いたまま上下動するなど、今回の事故と似たトラブルが起きていたことが次々と表面化。捜査幹部は「各地の類似事例の資料を取り寄せて関連を調べる」という。

http://www.asahi.com/national/update/0610/TKY200606100374.html