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2006年06月10日(土) 01時42分

殺害、まず弁護士に告白 県警幹部「疑問も」 秋田事件朝日新聞

 秋田県藤里町で米山豪憲君(7)が殺害された事件で、殺害を認める供述を始めたばかりの畠山鈴香容疑者(33)=死体遺棄容疑で逮捕=の弁護士が9日、供述した内容を詳細に明かす異例の会見をした。「犯行は計画的ではない」と弁護士が強調したのに対し、県警の捜査幹部は「疑問もある」として、慎重に捜査を続けることにしている。

 池条有朋、有坂秀樹両弁護士によると、8日朝に接見した際に、畠山容疑者から、豪憲君を殺害したことを告白された。能代署捜査本部の取り調べに供述する前のことだった。7日の夜あたりから、「本当のことを言いたい」という心境になったようだという。

 長女の彩香さん(当時9)が4月に水死した際、母親が錯乱状態になったことから、畠山容疑者は「母親が自殺してしまうのではないかと心配で、言い出せなかった」という。

 母親や弟には、犯行を一切、話していなかった。豪憲君事件のあと、母親から「彩香と豪憲君のために念仏を唱えましょう」と言われ、畠山容疑者は一緒に唱えていた。その際も、心の中で「ごめんね、ごめんね」と叫び続けていたという。

 この接見を受けて、弁護士と畠山容疑者の弟が8日、母親を訪ねて「殺害も認めた」と告げた。母親の精神状態の安定を図り、対応を協議していた矢先に、畠山容疑者は8日午後、捜査本部の取り調べに対しても、大声で泣きながら供述を始めたという。

 畠山容疑者は「話したことで楽になった」とも話したという。

 弁護士が記者会見を開いた主な理由は「家族への取材を自粛してもらうため」だった。それは、「家族を守りたい」という畠山容疑者の強い意向を受けたものだった。

 会見前、弁護士は報道各社に(1)容疑者の親族には、取材しない(2)親族の顔や姿の写真や声を、掲載・放映・再生しない(3)親族の取材は、弁護士を通じて書面で——という三つを要望した。朝日新聞社などが加盟する秋田県警記者クラブは、この要望について「最大限配慮し、節度ある取材、報道に努める」と申し合わせた。会見は、そのうえで始まった。

 会見では、事件のあった5月17日午後の畠山容疑者の行動や胸の内が、細かく説明された。

 両弁護士は何度も、犯行に計画性はなく、発作的なものだと強調した。一般に刑事裁判では、計画的な犯行よりも偶発的な方が、情状面で酌量されて刑が軽くなる。

 しかし、弁護士の前でも、畠山容疑者が説明を変えた部分があったという。「従前聞いたこととずれているので、聞き直さないといけない」という言葉も漏れた。

 ある捜査幹部は「取り調べに話していることと一言一句違わない。その限度で供述している」と話した。畠山容疑者以外は、犯行の核心場面をだれも見ていないため「基本的には容疑者に話してもらわないと分からない事件」といい、重要な供述を得たと判断している。

 ただ畠山容疑者は逮捕前に疑惑を一切否定していたうえ、逮捕後も供述が揺れることがあった。このため今後の捜査は、同容疑者が仮に供述を翻しても将来の公判が維持できるよう、物証や目撃証言などを積み重ね、供述に頼らない立件を目指すことにしている。

 事件の計画性の有無もポイントになるとみている。弁護士は「計画的ではない」と強調したが、捜査幹部は「軍手がそこにあり、はめたことなど、衝動的というには疑問もある」と話した。豪憲君や家族とのトラブルの有無や、再捜査を求めていた「長女の死」との関連を中心に、畠山容疑者に説明を求め、矛盾点がないか捜査を続ける。

http://www.asahi.com/national/update/0610/TKY200606090486.html