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2006年06月10日(土) 00時00分

女性が理容店通い 至福の顔そり読売新聞

男の人 こんな気持ちいいことを…

 美容院で髪を切る男性が増えて久しいが、近ごろは、女性が理容店に足を向けるようになってきた。人気の秘密は理容店ならではの「顔そり」。男は理容店、女は美容院という伝統的な住み分けは、いよいよ過去のものになりつつあるのかもしれない。


顔そりは理容店ならではの魅力(東京・北区の「チャオラ」で)

 東京都北区の理容店「チャオラ」。常連の会社員・野口恵子さん(36)(足立区)は1か月半に1度のペースで、顔そりとエステを組み合わせた4200円のコースを受けに来る。

 女性客が招き入れられるのはカーテンで仕切られた半個室。きめ細かな泡立ちの女性専用のフォームを、女性の肌に合ったブラシで塗りつけ、女性専用のカミソリを肌にあてる。小鼻のわきや目とまゆの間、耳の後ろなどをカミソリが小刻みに走ると、野口さんはうたた寝状態に陥った。

 約1時間後、最後にまゆをカットしてもらってコースを終え、「あー、気持ちよかった」と、野口さんは至福の表情を見せた。

 同店は昨年11月、結婚式でドレスを着る人のため、背中などの産毛もそる「ブライダルメニュー」をホームページなどでPRしてから、女性客が増加。今では客の6割を女性が占める日もあるという。

 鈴木政宏オーナー(33)は、「初めて顔そりをした若い女性客から、『男の人はこんなに気持ちいいことをしてもらってたの』と驚かれる」と話す。

 東京・白金台のホテルにある理容店「ヘアサロン大野」では顔そりだけではなく、ネイルケアやフットケア、ハンドケアなど、エステ並みのメニューをそろえる。多い日は女性客が3割ほどになるという。


真鍋さんを起用したポスター

 完全個室も備えた同店に、結婚式の2か月前から通い始めたという会社員・伊沢ひとみさん(27)(横浜市)は、「理容店でこんなことまでやってもらえるなんて知らなかった。式後も来たい」と話す。

 ヘアサロン大野の大野允子(のぶこ)専務は「男性客の横にかまわず並んで座って、顔そりのほか、フットケアを受けていく人も多い。女性の意識もずいぶん変わったのでは」と感じている。

 理容・美容を巡る男女の住み分けの歴史は古い。

 東京綜合理容美容専門学校によると、理容店の原型は、室町時代末期に武士を相手にした「髪結床(かみゆいどこ)」。一方、美容師のルーツは、江戸時代中期に生まれた「女髪結(おんなかみゆ)い」という。

 1947年制定の「理容師美容師法」が57年、「理容師法」と「美容師法」に分かれ、二つの仕事が別の法律で規定されるようになった。理容師法で言う「理容」は「頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること」。美容師法は「美容」を「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と定義する。顔そりは理容師だけに許された技術だ。

 だがこのところ、理容は美容に押され気味。


 「カリスマ美容師」ブームもあり、美容院は99年度以降、毎年増え続け、2004年度は約21万3300店。男性が美容院に流れる傾向も強い。これに対し理容店は、約14万2800店だった97年度以降減り続け、04年度は約13万9500店になった。

 じり貧を脱するには女性客を呼ぶしかないと、全国理容生活衛生同業組合連合会(全理連)はこの5年ほど、講師を全国各地に派遣し、女性の顔そりやエステ技術、女性好みの店の雰囲気作りなどを理容師に指導してきた。

 今春には、タレントの真鍋かをりさんをキャンペーンキャラクターに起用、女性向けに顔そりのPRを展開している。全理連が有名女性タレントを起用するのは初めてという。

 こうした取り組みは徐々に成果を挙げ、全理連の調査では、93年に利用者の4・8%だった女性客の比率は、一昨年には9・4%まで増えた。

 美容ライターの清水すま子さんは、「エステサロンほどゴージャスではないけれど、ご近所で出来るちょっとした気分転換の方法として、受け入れられ始めたのでは」と話す。

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