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2006年06月09日(金) 00時00分

人権含む著作権画一処理は困難 『竹中懇』が提唱する『番組のネット配信』 東京新聞

 NHK改革の一環で、竹中平蔵総務相の私的諮問機関「通信・放送の在り方に関する懇談会」が過去の番組を公開し、海外にネット送信することを求めている。ただ再放送するには著作権処理が必要で、その作業は膨大になる。実際にできるのだろうか。NHKの映像保管施設・アーカイブス(埼玉県川口市)を訪れて考えてみた。

     (小田克也)

 アーカイブスは、NHKの過去の番組映像を保存し、一般公開したり、番組制作に使ったりしている。

 過去の番組映像は一般公開するにせよ、制作中の番組に使うにせよ、著作権者の承諾を得なければならない。むろんネットでの配信も同じ。

 NHKは戦後六十周年の二〇〇五年、原爆の悲劇を伝える番組を特集して再放送した。うち一本は、被爆者から許可を得るのに一年かかったという。

 著作権処理についてアーカイブスの遠藤幹雄チーフディレクターは、「出演者がタレントの場合、事務所などで許可を取ればいい。しかし一般の方の場合、捜さなければならない。時間がかかる」と説明する。

 被爆者の中には、ある時は声だけ、ある時は顔だけ出演する人もいる。

 再婚して新しい生活を始めており、昔の写真は使わないでほしい—など、それぞれの事情があり、再放送する場合、一人一人の意思を確かめなければならない。「人権は失ったら取り戻せない」(遠藤チーフディレクター)ためだ。

     ◇

 「NHKのコンテンツ(情報の内容)を活用するのがNHKのため、国民のため、産業のためだ」。竹中総務相はこう言うが、著作権には人権など複雑な問題が絡んでおり、画一的に処理できるわけではない。

 視聴者ニーズの点からも、NHKは大量かつ急ピッチで著作権処理を迫られることに違和感を覚えているようだ。

 NHKは過去の番組を全国各地で公開しているが、利用はアニメや歌番組が多く、NHK特集などは人気がない。「求められる番組は限られている」(NHK職員)からだ。

 総務相の私的諮問機関は六日の最終報告で、過去の番組をネットで積極的に公開することを求めたが、簡単な話ではなさそうだ。

<メモ>【NHKアーカイブス】
 NHKがテレビ放送開始50周年を記念して2003年、埼玉県川口市の情報・映像産業集積地区「SKIPシティ」に開設。NHKが所有するニュース約366万項目のうち約55万項目、番組約58万本のうち約43万本を保管。NHKは今年3月末現在、この中からテレビ番組約5000本、ラジオ番組約600本を、アーカイブスと光ファイバーで結んだ放送局、関連施設など全国44カ所で無料公開している。利用者は好きな番組を選んで見ることができる。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20060609/mng_____hog_____000.shtml