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2006年06月08日(木) 01時49分

6月8日付・読売社説(1)読売新聞

 [金融商品取引法]「不公正排除に必要な不断の点検」

 証券市場の健全な発展には、不公正な取引手法の排除が欠かせない。新法によるルール整備を、市場の公正と信頼の確保にしっかりとつなげたい。

 証券取引法を抜本的に改正した金融商品取引法が成立した。法の抜け穴を突くような株取引の防止策や、実態が見えにくい投資ファンドに対する規制の強化などが柱だ。

 ライブドアの粉飾決算、村上ファンドのインサイダー取引が、相次いで摘発された。海外からも、日本市場の公正性に、疑問の目を向けられかねない状況だ。

 新法は、市場外で上場企業株の3分の1超を取得する場合に義務づける公開買い付け(TOB)の対象を広げた。

 村上ファンドは、阪神電気鉄道株を買い占めた時に、市場外での取得を3分の1の寸前に抑え、市場内での購入で3分の1を超えた。そうした手法を防ぐために、市場の内外の取引を組み合わせたケースも、TOB対象にする。

 機関投資家に認められていた株式の大量保有報告書の提出期間の特例も、株取得から最長「3か月半」を、「3週間以内」に大幅に圧縮する。一般投資家に比べ、売買から報告までの期間が長く、投資行動が見えにくいのを利用して不公正取引が行われるのを防ぐ狙いだ。

 投資ファンドには、代表者名や所在地などの登録・届け出を義務づけ、必要なら金融当局が検査できるようになる。インサイダー取引や相場操縦などに対する罰則も、強化された。

 だが、ルール整備がこれで十分なのかどうか。不断の点検が必要だ。今回の改正では見送られたが、インサイダー取引などに対する課徴金は、抑止効果を高めるため、やはり引き上げるべきだ。証券取引等監視委員会などによる市場監視機能の強化も、今後の課題になる。

 投資ファンドの情報開示についても、出資者情報を含め、拡充を検討すべきだろう。政府は、新法の効果を見定めながら、必要な改善措置を講じてほしい。

 一方、新法は、消費者保護の強化策も大きな柱に据えた。元本割れリスクのある金融商品について、これまで商品別、販売業者別に分かれていた販売・勧誘のルールを一本化して、横断的に規制の網をかける。

 法律のすきまに入って規制対象とならない商品で、詐欺的な被害に遭うケースを防ぐ狙いだ。

 資金の流れを「貯蓄」から「投資」へ変えるには、消費者が安心して金融商品に投資できる環境を整える必要がある。消費者の視点に立った制度への転換は当然の流れである。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060607ig90.htm