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2006年06月08日(木) 00時00分

問われる信販会社の責任 東京新聞

 高額な商品などを売りつける悪質商法に、信販会社のクレジット契約が悪用されているとして、経済産業省は対策の本格検討を始める。「割賦販売法の改正も視野に入れている」(商務流通グループ取引信用課)という。収入の乏しい人に高額商品を買わせたり、強引な営業をしたりする業者に対し、信販会社が管理責任を果たしていないとして、日本弁護士会や消費者団体などは規制の大幅強化を求めている。そうした声を経産省はどこまで取り入れるのだろうか。 (白井康彦)

 七日、経済産業相の諮問機関である産業構造審議会の割賦販売分科会基本問題小委員会は、クレジット取引の報告書をまとめた。

 小委員会は、学者や消費者団体代表、信販会社の経営者らがメンバー。報告書は、検討課題として▽悪質業者の営業を助長するようなクレジット契約の排除▽信販会社の過剰与信(返済能力を超えた高額のクレジット契約をすること)▽一回払い、二回払いのクレジット契約も割賦販売法の適用対象にすること−などを挙げ消費者保護の立場から「早急な対応の検討」を求めている。

 これを受けて経産省は本年度内にも省内で対策案を策定。委員会での議論を経て、必要があれば法改正に向けた作業に入る。

 着物などの次々販売、マルチ商法、リフォーム商法など、多くの悪質業者は信販会社の加盟店になっている。客は、商品やサービスを買う契約をする一方、信販会社とクレジット契約を結び、消費者が信販会社に分割払いしていく。「月々一万円の支払いで済む」といった勧誘に、つい契約してしまう人が後を絶たない。

 日弁連は昨年十月、割賦販売法の改正を求める意見書を発表。今年五月には主婦連合会も同法改正を求める要望書を経産省に出した。

 信販会社に関して▽加盟店を管理する義務を法制化する▽悪質業者に不当な営業行為があったときには既払い金の返還を義務づける▽過剰与信の禁止規定を作る▽割賦販売法の対象商品を政令で指定する方式の廃止▽クレジット取引への参入規制を設ける−などの内容で、小委員会の報告書にも、その声が反映されている。

 ただ、加盟店管理責任の法制化や既払い金返還の義務づけについては、報告書にはほとんど言及がない。日弁連や消費者団体などは、これらの点について経産省の消極的姿勢をただしていく構えだが、簡単ではなさそうだ。

■1千万円以上の契約も

 日弁連や、弁護士、司法書士らでつくる「クレジット過剰与信対策全国会議」は昨年からシンポジウムを繰り返し開いて信販会社を厳しく規制すべきだと訴えてきた。

 四月下旬には全国会議の働きかけで、悪質商法の全国の被害者二十六人が信販会社十八社や悪質業者を一斉に提訴した。信販会社に既に払った金(既払い金)の合計約四千二百万円の返還や、今後払うことになっていた未払い金の債務が存在しないことの確認などを求めた。

 代理人の弁護士らは「信販会社が加盟店である悪質業者の営業活動の適正さを管理する責任を怠ったことや、消費者の支払い能力の審査を十分にせず過剰に与信した、といった点を訴えの根拠にしている」と説明する。

 クレジットの契約総数は九十二件。対象の商品は呉服、住宅リフォーム、宝飾品などが多く、これらが悪質業者の「次々販売」で扱われていることが分かる。契約総額が一千万円以上という原告も五人おり、弁護士らは「支払い能力を超えた過剰与信が目立つ」と強調する。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20060608/ftu_____kur_____001.shtml