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2006年06月07日(水) 01時21分

6月7日付・読売社説(1)読売新聞

 [NHK改革]「経済性優先では弊害が心配だ」

 NHK改革を巡って、意見を大きく異にする二つの報告書が相次いで公表された。

 竹中総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」と、自民党の「通信・放送産業高度化小委員会」の報告書だ。

 来月まとまる政府の「歳出・歳入一体改革」に自らの見解を反映させるべく、両者はそれぞれ、小泉首相などへの働きかけを強めていくだろう。

 全体として、竹中懇は市場原理に基づく急進的な見直しを主張している。一方、自民小委はNHKを、「信頼できる情報を全国あまねく提供する社会的使命を担う」と位置付け、公共性を重視した漸進的な対応を提案している。

 報道機関でもあるNHKの性格を、経済性優先で変えるのは、弊害が少なくない。改革は、現実に立脚した自民小委の報告書を基本とすべきである。

 最大の相違点はNHKの組織形態だ。竹中懇は不祥事を起こしたスポーツ・娯楽部門は「必ずしも公共性が高くない」とし、子会社化するよう求めている。

 子会社を民間の番組制作会社との競争にさらし、NHK本体は、より優れたものをより安く制作する方から番組を買って、電波に乗せるという考えだ。

 自民小委は「本体で行っている業務を安易に子会社化することは、統治の実効性の観点から慎重であるべきだ」と、これに真っ向から反対している。

 不祥事を許した経営のゆるみは是正しなければならない。しかし、それを組織改革に直結させるのは無理がある。視聴者の意向を番組に反映させるためにも、制作と放送の一体運営が必要だろう。

 テレビ、ラジオを合わせ、NHKが持つ8チャンネルについて、竹中懇は「3チャンネルの削減」を打ち出している。自民小委も削減の方向を示しているが、最小限にとどめる考えだ。

 未納者が3割に及ぶ受信料は、両者とも法律による義務化を提言している。それでも効果がなければ、共に「将来の罰則導入もやむなし」とする。

 竹中懇は、受信料の大幅値下げを義務化の前提としている。だが、自民小委は「安易な引き下げは番組の質の低下を招く」と、これに批判的だ。

 それにしても、外部の激論をよそに当のNHKが沈黙を保っているのは不思議だ。自民小委は、機能不全に陥ったNHKの経営体制に関し「まず経営委員会が改革を検討すべきだ」と指摘した。

 構造的になった受信料の未納、肥大化した子会社群などの問題を、自らの手でただそうとする意欲もないのでは、本当に改革ができるのか、不安になる。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060606ig90.htm