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2006年06月04日(日) 02時46分

<エレベーター事故>トラブル頻発、数カ月前から 怒る住民毎日新聞

 「トラブルばかりでおかしいと思っていた」。都立高2年、市川大輔君(16)がエレベーターに挟まれて死亡した東京・港区のマンションは、数カ月前から突然止まるなどたびたびトラブルを起こしていた。しかし、運営している区に報告が来たのは3日夜、死亡事故が起きた後だった。住民たちは安全なはずのエレベータでの事故に不安と怒りを口々にぶつけた。【曽田拓、永井大介】
 現場のマンション「シティハイツ竹芝」(23階建て)は98年4月に区が開設した。1〜7階が港区立障害保健福祉センターなど福祉施設で、8〜23階が区民向け住宅になっている。区は住宅部分を同区住宅公社に委託・管理させている。
 建物内にはエレベーター5基があり、うち2基が住宅用で、1〜7階は止まらず8階まで直行するようになっていた。
 事故が起きたエレベーターは、今冬からたびたびトラブルが起き、住民の間で問題になっていた。
 20階にすむ男性会社員(39)は、自宅からエレベーターで地下駐車場へ降りようとしたところ、開くはずのない4階で突然止まり、今度はドアが開いたままエレベーターが動かなくなった。この男性の妻(40)も別の日に地下駐車場へ降りたところ、ドアがしばらく開かなかったという。妻は「こんな事故が起きるなんて不安だ」と表情をくもらせた。
 また、21階に住む男性(27)は、エレベーターで自宅がある21階まで上がった際、エレベーターと出口に数センチの段差ができていたこともあったという。「途中の階で突然止まったという話はよく聞いた」と怒る。
 最近は1カ月に1度の割合でエレベーターの点検をしていたが、そのたびに、「点検をしたが、異常はなかった」とする張り紙が掲示されていたという。
  ◇  ◇
 事故を受け、武井雅昭港区長は午後11時半から区役所で会見。「亡くなられた方に心からごめい福をお祈りしたい。区としても今後情報を得て、適切な対応をとりたい」と述べた。
 会見に同席した区都市計画課幹部によると、エレベーターの故障などがあった場合は、公社から区に報告することになっていたが、これまで報告はなかった。今回事故が起き、区の担当者が現場に行って初めて、公社担当者が「住民からの苦情があり、エレベーター管理会社が点検したことがある」と報告したという。【永井大介】
 ◇野球部でレギュラーに 両親、姉と暮らす市川君
 近所の人によると、亡くなった市川君は、両親と姉と現場のマンションに住んでいた。中学、高校と野球部に所属。今春からはセカンドでレギュラーになり張り切っていたという。事故の連絡を受けて駆けつけた野球部の監督は「まじめで静かに闘志を燃やすタイプだった。こんなことになるとは信じられない」と言葉少なにマンションへ入った。地域の祭りのおはやし会で踊ったりすることもあったという。その会の主婦(53)は「少しはにかみ屋だったけど、会えばあいさつする元気な子だったのに」と声を詰まらせていた。
 ◇「考えられないトラブル」 保守・点検業者
 エレベーターの保守・点検を行う業者は「考えられないトラブルだ」と口をそろえた。
 関東地方のある業者は「エレベーターは扉が閉まらなければ動き出さない仕組みになっている。造った段階でそういう検査をパスしたから設置されているはず。こういう事故やトラブルはまったく聞いたことがない。思い当たる原因はない」と話した。
 また、関西地方のある業者も「通常では、とても考えられない事故だ。事故があった(シンドラー社の97年製)エレベーターはコンピューターで制御されており、ドアが閉まらないまま、動き出すことはありえない」と驚いていた。
 ◇同機種の調査「必要かも」 国交省
 国交省によると、エレベーターは通常、厳重な安全装置が付いており死亡事故が発生することはほとんどないという。同省住宅局幹部は「事故の報告はまだ受けていないが、安全装置は建築基準法などで厳しく定められている。港区などの調査結果によっては、同種のエレベーターの調査をする必要があるかもしれない」と話している。
(毎日新聞) - 6月4日2時46分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060604-00000003-mai-soci