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2006年05月31日(水) 00時00分

未公開株詐欺 実態は?朝日新聞

◆勧誘会社「判断はお客様」◆
◆「上場予定企業」と共謀も◆

 電話やダイレクトメールで「上場予定」の未公開株の購入を勧められ、現金をだまし取られる被害が急増している。23日には、テレビ通販会社の未公開株を上場予定があるように偽って高齢者らに売ったとして、警視庁が東京都内の投資顧問会社の社長ら6人を詐欺容疑で逮捕した。被害額は十数億円に上る。同様の手口による被害は県内でも出ている。どんな勧誘をするのか、実態を探った。

 ダイレクトメールで勧誘文書を発送した会社に、実際に電話した男性に話を聞いた。男性によると、会社側はある「ベンチャー企業」の「株式上場が内定している」と説明した。

 会社の電話に出た中年の男は、落ち着いた口調で「内密にしてくれるなら言いますが、うちの会社と相手方のトップが幼なじみなんです。トップ同士の話だから、会社に確認しても社員は知りませんよ」と話した。

 その上で「ただ私どもからは、絶対上場するとは言えません。お客様に判断してもらうところです」と断ったという。

 無理やり勧める雰囲気はなかった。株を勧められた「ベンチャー企業」は、聞いたことのない社名だった。勧誘手口としては、有名製薬会社の未公開株を上場予定と偽って詐欺容疑で逮捕されたケースもある。

 電話した会社は「株式投資コンサルタント会社」と称した。証券取引法上、未公開株の売買ができるのは証券業の登録を受けた証券会社などに限られる。男性が会社側に登録について尋ねると、「正直に申しまして無登録です。株主集めの委託を受けています」と説明したという。

 男性は「ベンチャー企業」側にも電話で上場予定を聞いた。その会社は「予定はあります。08年度が目標です」と答えたという。

 証券業無登録の会社に株式売買を委託して大丈夫なのかと尋ねると、「どうでしょう。投資育成をお願いして株を買ってもらっているんです。そこから先は私どもは関知していませんが、売りますよとは聞いています」と話したという。

 2者とも「上場します」とは言い切らなかった。

 数週間後、今度は記者がコンサル会社に電話した。同じ番号にかけたが、受付の女性は別の社名を名乗った。以前の社名を伝えると、50代らしい男から折り返し電話がきた。詐欺や証取法違反の可能性を問うと「株券を送っているので詐欺には当たらないし、株を扱っているベンチャー企業とは持ち株会社の関係なので問題ない」と語気を強めた。

 金融庁によると、勧誘会社と上場予定会社が共謀するケースも多いという。30日、証券業の登録がないまま未公開株を販売したとして、大阪府警が全国で初めて証券取引法違反(無登録営業)の疑いで東京都の投資会社社長を逮捕した。同庁証券課は「元々、未公開株が一般に出回ることはほとんどない。扱う会社が証券会社として登録されていなければ怪しいと思ってほしい」と呼びかけている。

 【県内の被害】県民生活センターには05年度に19件の相談が寄せられ、被害額は計2365万円。うち7件が06年3月に集中し、同月だけで被害は計1615万円に上る。さらに4月に2件(被害額計120万円)の相談があった。担当者は「被害に遭ったのに気づいていない人や自分は大丈夫だと思っている人、泣き寝入りしている人など潜在的被害者はもっと多い」とみている。

http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000000605310009