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2006年05月31日(水) 00時00分

JRのネット予約人気で金券ショップが悲鳴朝日新聞

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 新幹線の格安チケットを主力商品にしている金券ショップが、割引率が高く、駅の窓口に行かなくても座席指定ができるJR各社のネット予約システムのあおりで悲鳴を上げている。割安感が薄れ、利便性も遠く及ばないとあって、新幹線チケットの売り上げは最盛期に比べて2〜3割減っているとも言われる。業界からは「太刀打ちは難しい」とあきらめの声も聞こえる。

 JR西日本が2月から発行を始めた「J—WESTカード」。自宅やオフィスから携帯電話やパソコンで山陽新幹線と同社管内の在来線の特急列車の予約ができる。新大阪—博多間ののぞみの正規料金は1万4890円だが、会員は3440円(割引率約23%)も割り引かれ、1万1450円(7月22日以降は1万2880円)になる。「ライバルの飛行機などに対抗するため」(同社)という。

 01年に始まったJR東海のエクスプレス予約(東京—新神戸間)もほぼ同じ仕組み。東京—新大阪間ののぞみ普通指定席は正規料金(1万4050円)から850円割り引かれて1万3200円になり、自由席回数券(1万3240円)より安くなる。

 J—WESTの会員数は約5万人と好調で、エクスプレスも約50万人と1年前の約1.5倍に増えている。7月22日からは双方とも東海道・山陽新幹線全線の予約ができるようになるため、さらに会員数は増える見込みだ。

 好調なネット予約の余波を受けているのが、企業や個人から仕入れた新幹線の回数券をばら売りしている金券ショップだ。

 大阪市内の主要店では、東京—新大阪間ののぞみの格安券は1万3千円前後、新大阪—博多間は1万1300円前後。価格はわずかに安いが、店頭まで出向いて購入しなければならないことを考えれば、メリットは乏しい。

 価格以外の違いも大きい。J—WESTとエクスプレスは、チケットの受け取り前なら乗車直前まで手数料なしに何度でも予約変更ができるうえ、一年中利用できる。格安券は年末年始やお盆、ゴールデンウイーク中の利用が制限される。

 さらに、ネット予約にはポイントプログラムもある。エクスプレスで新大阪—東京を5往復すれば、普通料金でのぞみのグリーン車を1回使える。J—WESTではポイントを電子マネーや商品券に交換するサービスもある。利用回数の多いビジネスマンの出張や家族旅行などで利用すればメリットは大きい。

 全国の金券ショップの約3割(約600店)が加盟する日本チケット商協同組合(東京都)の伊集院浩二理事長によると、JRのネット予約が登場してから、新幹線の格安券の販売量は2〜3割落ち込んだという。

 さらに、JR側はここ数年、大手旅行会社に対し、転売目的の購入者に回数券を売らないよう要請していることもあり、回数券が品薄気味。仕入れ量を確保するためには仕入れ値を下げられず、小売価格の値下げは難しい状況だ。

 大阪市北区のある金券ショップの担当者は「新幹線の格安券は、客を集める客寄せパンダのような商品。でも、利益は数%程度しかないため、これ以上の値引きは無理で、太刀打ちすることは難しい。株主優待券など、新幹線以外の多様な商品の販売や接客サービスに力を入れるしかない」と話している。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200605310020.html