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2006年05月31日(水) 00時00分

あすから民間委託の駐車監視員制度  “本番”直前準備OK 中日新聞

 道路交通法改正により六月一日から、民間人の駐車監視員による放置駐車の取り締まりが始まるなど違法駐車の規制が強化される。川崎市内でも駐車監視員の研修が行われ、準備は最終段階に入った。大きな影響が出そうな引っ越し業者やタクシー会社からは改正法施行後の対応に苦慮する声も聞かれる。それぞれの戸惑いが広がる中、渋滞緩和の切り札がスタートする。 (木村留美)

 「ここは車道ですか、それとも路側帯ですか」「最重点地域から外れた場所でも取り締まりはできますか」。二十九日午前、川崎署が川崎区の飲食店が集中する東田地区で行った駐車監視員の実地研修に同行した。

 監視員たちは地図を手に飲食街を歩き、同署交通課員から実際に違法駐車中の車を例に指導を受けた。“本番”を間近に控え、監視員らは、具体的な質問を次々と投げかけた。

 同地区は、県警が駐車監視員活動ガイドラインで、取り締まりの最重点地域に指定されている。不安そうな表情の監視員に、講師の同署交通課員は「当面は警察官も同行します。分からないことがあれば、その都度聞いてください」と声を掛けた。監視員は二人一組で活動するが当面、警察官一人が「指導役」として加わり、三人一組で巡回をスタートさせる。

 川崎市内では、警備会社など二業者が、駐車監視員業務を委託されている。講習を受けた監視員二人一組の計十二グループが、駅周辺など、各警察署が指定した「重点地域」を中心に巡回する。研修に参加した監視員の男性は「(違反を入力する)機械の操作を間違えたり、ドライバーに暴力行為を受けるなど、想定外のトラブルが起きたらどうしようかという不安はある」と話した。

 一方、取り締まり強化のあおりを受ける市内の引っ越し業者は「これまではドライバーも作業員の一人として、荷物を運んでいたが、これからは荷受けや荷降ろしで車を離れることができない。新たに人を増やさなければならず、人件費がかかるのが痛い。その分を料金に上乗せするのか、こちらで負担しなければいけないのか、様子を見ながら考えなくては」と困惑の様子だった。

 大手タクシー「神奈川都市交通」(横浜市)でも「お客さまを迎えに行く場合、これまでは到着後に路地に車を止め、呼びに行くことができたが、今後は運転手に呼びに行かせることをやめる。代わりに、到着時間をお客さまに伝え、出てきてもらって待ち合わせるしかない」と、対策を話した。

 川崎署の渡辺延雄交通課長は「取り締まるべきところは厳しく、必要のないところは見直す。これまでの業務は駐車違反の苦情に追われていたが、(新制度で警察官の勤務体制に余力が生まれるため)交通事故捜査などにシフトできるのではないか。渋滞の解消にもつながる」と、その“効果”に期待を寄せる。

 県警が公表した「駐車監視員活動ガイドライン」によると、駐車違反などが多い県内三十五署管内を「重点地域」に指定。百六十人の民間人が「駐車監視員」として取り締まりに当たる。交通事故や渋滞防止などが主な狙いだが、厳しくなる規制にドライバーの反発も予想され、県警は「新たな制度に理解を」と周知徹底に努めている。

 駐車監視員の主な作業手順は(1)違法駐車状態を確認しデジカメで撮影(2)端末で違法状態を警察に送信(3)車に標章(ステッカー)を張り付ける。標章を張られた違反者は、警察署に出頭し、反則金を納めなければならない。

 監視員は、県内の警備会社など八社に委託され全国統一のモスグリーンの制服姿で摘発に当たる。「みなし公務員」のため、違反者が殴るなど暴行を加えれば、公務執行妨害罪に問われる可能性があり、違反を見逃す見返りに、金のやりとりがあれば贈収賄罪の対象となる。

 運転者がすぐに車を移動できる状態なら摘発対象にならないが、運転者が車から離れた場合は違反となる。県警は「重点地域は、駐車実態や住民の声などをもとに選定した。監視員の活動は原則として重点地域内だが、悪質な違反がある場合は各署の管内で取り締まりに当たる」という。

  (石川智規)


http://www.chunichi.co.jp/00/kgw/20060531/lcl_____kgw_____000.shtml