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2006年05月30日(火) 00時00分

イワシ高値の理由…回復は2020年以降ZAKZAK

「増えすぎて本能で成長遅らせたが…」

 「イワシ一筋で67年やってまいりました。数年前からタイより高いなどと言われ、昨年はちょっと落ち着いてきたかなと思っておりましたのに」

 ため息をつくのは、昭和14年創業のイワシ料理店「いわしや」(東京・銀座)のおかみさん、内藤田鶴子さん(69)。

 「今年に入ってから特に手に入らなくなり、今は仲買さんに苦労して全国から集めていただいている」。「季節の野菜煮」を除き、ほとんどすべてのメニューにいわしを使う。

 塩焼き単品で昼は700円、夜は900円。田鶴子さんは「お客さまから励ましの言葉をいただいていますが、やればやるほどという状態。これではもう…というところまで来ているのは確かです」と話す。

 高島屋日本橋店は「入荷のない日もあり、20センチ未満でも1尾800−1000円。お魚としてはかなり高額です。ここ1年かけてじわじわと上がっている」と話す。

 「特大の大羽(おおば)というサイズでは、今月に入って高値で5000円以上というのが7回ありました」とは、東京都中央卸売市場水産農産品課の桜田悦雄さん。うち3日は、1キロ5775円の最高値を記録した。

 ここ数年高値を更新し続けてきたイワシ。「昨年は最高値で4200円だった」というから、今年で“極まった”感がある。ちなみに最高値を記録した今月25日、天然マダイの活魚でキロ7665円、天然ヒラメで3675円。

 農水省によると、イワシの漁獲量は昭和63年の約448万トンをピークに減り続け、昨年は約2万8000トンにまで激減した。

 寒い冬がやっと終わったと思ったら、五月晴れの季節に雨模様。誰もが「イワシの不漁はやはり、温暖化のせい?」と思いがち。ところが、有数のイワシ漁場を抱える千葉県の水産試験場に「イワシ予報官」として勤務していた平本紀久雄さんは「それだけでは説明できません」と話す。

 「イワシの漁獲量は、前年の冬の小羽(生後1年の小さい)イワシの量で占うが、ピークの昭和63年は、実は小羽が記録的に少なかった。減少の原因のひとつは増えすぎたこと。(イワシが本能で)成長を遅らせ、分布域を広げたが、増えすぎて減少に転じた。それにアリューシャン低気圧がちょうどこの頃不活発化し、親潮が広く行き渡らなくなり、エサが減少したことも影響したとみられています」

 イワシが好物のクジラが捕鯨禁止で増えたことを理由に挙げる人もいるが、クジラが食べるカタクチイワシはむしろ増加傾向だという。

 過去の例では、1970年代前半は不漁で、75年ごろから漁獲量が増加。20世紀には30年代にも豊漁期があったという。そのサイクルは長く、平本さんは「豊漁が10−20年、不漁も30年ほど続く」と指摘。「今、マイワシは種としてエネルギーを蓄えている時期とも考えられ、本格的に回復するのは2020年以降かも」と予測する。

 イワシが庶民の魚になるのは、まだまだ先?

ZAKZAK 2006/05/30

http://www.zakzak.co.jp/top/2006_05/t2006053001.html