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2006年05月30日(火) 00時00分

厚労相『信用できない』 社保庁調査公表 東京新聞

 社会保険庁が二十九日夜、公表した国民年金保険料の不適切な免除・猶予に関する調査報告。本人の申請がない、手続きの“ルール違反”は全国二十六都府県でまかり通っていた。年金加入情報ののぞき見、監修料の受領…。解体的出直しの途上でまたも噴出した新たな不祥事。報告をまとめたその日に、再調査を決定し、事態は底なしの様相も。「(不適切な処理が)これほどとは…」。幹部は頭を抱えた。 

 村瀬清司長官は午後九時から、記者会見。「(自主点検の結果は)予想外のことで、これほどとは思っていなかった」と厳しい表情。「(不適切な処理について)楽をしようとした事務局、事務所が増えたことはショックだ」

 指導・助言など本庁の関与については「指示は一切ない。(現段階で)本庁ぐるみは明確にあり得ない。事務所ぐるみ、事務局ぐるみ」と断言。しかし、組織の隠ぺい体質について問われると「報告を求めても、来なかったのだから…。結果的には否定できない」と苦渋の表情もみせた。

 相次ぐ不祥事と、隠ぺい体質に対する強い不信感は、会見に先立つ同日夕の参院決算委員会で“身内”から飛び出した。

 調査結果について、川崎二郎厚生労働相は「すべて信じられるかと申し上げれば残念ながら私自身はそれをすべて信用するわけにはいかない」と発言。組織の自浄作用に大臣自ら疑念を示し、外部の目も入れて調査する意向を表明してみせた。

 「(不適切な処理は)四十七の事務局のうち二十六事務局、件数は十一万…」。同日夜、報告書が公表された「社会保険新組織の実現に向けた有識者会議」の席上。組織のトップ、村瀬長官は報告の概要を示しながらこう言い放った。

 「私自身は事務局長や事務所長を信じたいと思っているが、あくまで自主点検なので(申請免除などの)全件二百七十万件について他人によるチェックでやらない限り、真実は出てこない」

 各委員からは「(今回の不正は)現場の誰が、どこまで知っていたのかを明らかにすべきだ」「ノルマとかプレッシャーに負けたというのは言い訳にはならない」など厳しい意見が相次いだ。

<メモ>社会保険庁の地方組織

 本庁が国民年金や厚生年金、政府管掌健康保険の保険料徴収、給付の実務全体を統括し、都道府県ごとに社会保険事務局47カ所、窓口業務を行う社会保険事務所312カ所が設置されている。地方組織は地方採用職員が主体だが、近年人事交流が進んでいる。社保庁全体の正規職員は約1万7000人。厚労省人事によるキャリア官僚と社保庁採用職員、地方採用職員で構成され、この「三層構造」が運営責任の欠如を招いているとの指摘がある。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060530/mng_____sya_____015.shtml