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2006年05月30日(火) 11時52分

都立板橋高の卒業式「妨害」、元教諭に罰金刑 東京地裁朝日新聞

 定年まで勤務していた東京都立板橋高校の04年の卒業式に来賓として訪れた際、開式前に保護者らに国歌斉唱時に起立しないよう呼びかけたなどとして、同校元教諭・藤田勝久被告(65)が威力業務妨害罪で在宅起訴された刑事裁判で、東京地裁は30日、無罪主張を退け、罰金20万円(求刑・懲役8カ月)の判決を言い渡した。村瀬均裁判長は「式の遂行は現実に妨害された」として威力業務妨害罪の成立を認めた。一方で「元教諭に対する非難は免れないが、元教諭は式の妨害を直接の目的としたのではなく、式もほぼ支障なく実施された」と述べ、懲役刑ではなく罰金刑が相当だと結論づけた。元教諭側は即日控訴した。

 判決によると、藤田元教諭は04年3月11日午前9時42分ごろから午前9時45分ごろまでの間、板橋高校体育館で、午前10時開式予定の卒業式のために着席中の保護者に向かい、「今日は異常な卒業式」と訴え「国歌斉唱のときは、できたらご着席をお願いします」などと大声で呼びかけ、教頭が制止すると「触るんじゃないよ」などと怒号をあげた。校長が退場を求めても従わず、式典会場を喧噪(けんそう)に陥れ、開式を約2分遅らせるなどした。

 元教諭の退出後に卒業生が入場。今回の裁判の対象になった元教諭の式場での行為と直接の因果関係はないが、冒頭の国歌斉唱時に卒業生の約9割が着席する事態が起きた。これを問題視した都教委などが被害届を出したのを受け、東京地検が異例の在宅起訴に踏み切っていた。

 判決は、呼びかけの内容が学校側にすれば許容できない内容で、校長らが職責上放置できないものだから「威力」にあたる▽退場要求に従わず怒号し、校長らが対応を余儀なくされた——などとして威力業務妨害罪が成立すると判断した。

 弁護側は「配布や呼びかけは私語が許されている時間帯で、教頭からの制止も受けていない」と争ったが、判決はこれを退けた。

 元教諭は、教員生活最後の年に受け持った1年生の卒業を見届けるために来賓として来ていた。

     ◇

 「板橋高校卒業式事件」の東京地裁判決の理由骨子は次の通り。

 (1)被告の行為はそれ自体が威力にあたる行為で、現実に業務妨害の結果が生じている。

 (2)妨害は短時間だったことなどを考慮すると、懲役刑を選択するのは相当ではない。

     ◇

 〈キーワード:都立板橋高校卒業式事件の経過〉 都教委は03年10月、入学・卒業式の国歌斉唱時の起立徹底を通達で打ち出した。問題となった式は、その後初めての卒業シーズンを迎えた04年3月に行われた。元教諭が週刊誌コピー配布や不起立の呼びかけをした式には、国旗・国歌をめぐる混乱を予想していた都教委が指導主事5人を派遣していたほか、以前から不起立に批判的だった地元都議も来賓として招かれていた。都議は式直後の議会で生徒の着席を問題視する質問をし、都教委側も元教諭について法的措置をとることを表明。学校側が被害届を出し、東京地検公安部が04年12月に在宅起訴した。

http://www.asahi.com/national/update/0530/TKY200605300124.html