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2006年05月29日(月) 00時00分

阪急、阪神株のTOB開始を決議 1株930円で朝日新聞

 阪急ホールディングス(旧阪急電鉄)は29日午前、臨時取締役会を開き、阪神電気鉄道株の株式公開買い付け(TOB)の開始を決議した。1株930円で、発行済み総数の45%を目標に買い付ける。阪神電鉄も同時に開いた臨時取締役会でTOBへの賛同を決議した。阪急と阪神はTOBの成功を条件に、経営統合することも決議した。阪急は、阪神の筆頭株主である村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)と同ファンド保有の阪神株(発行済みの約47%)の取得交渉を続けているが、売買価格を巡って詰めの交渉が難航しており、合意を待たずにTOBに踏み切る。統合の成否は村上氏側の判断にゆだねられる。

 阪急が決議した阪神株のTOBは、30日から6月19日までで、村上氏側以外の株主も対象となる。買い付け目標は村上氏側保有分より若干少なく、1株あたり930円の買い付けで総額1760億円を投じる。阪急はTOBと並行して、村上氏側と阪神株の売買交渉を継続する。

 大阪市内での記者会見で、阪急の角和夫社長は「戦後初めての民間鉄道の統合を目前にしている。村上さんにも経営統合の方向性は理解してもらっている。ぜひ1株930円での買い付けに応じてほしい」と訴えた。合意前のTOBを決断した理由について「6月末の株主総会で統合を順調に承認してもらうには、29日がぎりぎりだった。公明正大にやった方がリスク(危険)が小さい」と説明。村上氏側がTOBに応じなかった場合の対応については「仮定の質問に答えるのはいかがなものか」と語った。

 阪急の発表を受けて、村上ファンドは29日、「統合相手として阪急が本当にベストなのか、現時点では十分に納得していない。また、買い付け価格についても、私どもが想定している価格とは依然として開きがある」とのコメントを出した。

 阪神株の売買交渉は、村上氏側が1株1200円での売却を主張したのに対し、阪急側は八百数十円での取得を掲げて4月にスタート。ここ数日は900円台の水準で交渉が進み、28日深夜の時点では、村上氏側の売却希望価格と阪急の取得希望価格の差は数十円まで縮まったものの合意の見通しは立っていない。

 阪急はこれまで、村上氏側と価格面を含めて合意した上で、阪神株取得の手段としてTOBを行う考えだった。方針を変更して合意前のTOBに踏み切るのは、阪急と阪神がそれぞれ6月29日に開く株主総会までにTOBを終了し、総会で統合への承認を求めたいとの強い決意の表れと見られ、村上氏側に阪神株売却を促す狙いがある。

 阪急と阪神は臨時取締役会で、統合に関する決議も行った。阪急ホールディングスの傘下に阪神を収める方式で、TOBによる阪神株の買い付け後、株式交換によって10月1日付で阪神を完全子会社化する。株式交換比率は1対1.4で、阪神株1株につき阪急株1.4株を割り当てる。持ち株会社の社名は阪急阪神ホールディングスで、子会社となる阪神は上場廃止となる。

 両社は統合後の取締役候補も発表。阪急側から角和夫・阪急ホールディングス社長ら12人、阪神側からは縄田和良専務ら阪神電鉄の6人で、阪神側の候補者には西川恭爾社長は含まれていない。

 村上氏側はこれまで、阪急と阪神の経営統合に反対ではない姿勢を示しつつ、「統合比率をはじめ、統合後の具体的な姿や効果が示されておらず、阪神の企業価値を上げるかどうか判断できない」と主張。26日には「阪神電鉄の株主価値を毀損(きそん)するような提案は受け入れられない」とのコメントを発表した。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200605290006.html