2006年05月29日(月) 02時09分

ローマ法王がアウシュビッツ訪問（産経新聞）

　【ベルリン＝黒沢潤】ポーランドを訪問中のローマ法王ベネディクト１６世は２８日、ナチス・ドイツが第２次大戦中にユダヤ人らを大量虐殺したアウシュビッツ強制収容所を訪問し、収容者が射殺された「死の壁」と呼ばれる場所などで犠牲者に祈りをささげた。

　ドイツ出身である法王の収容所訪問は、前法王ヨハネ・パウロ２世に同行した１９７９年などに続き３回目。法王は、「労働は自由をもたらす」と書かれた門を同行した人々の先頭に立ってくぐり、敷地内を進み、収容所の生存者らに面会した。法王は生存者を前にしたスピーチでナチスが犯した蛮行に言及、平和の重要性を強調する。

　バチカン当局は２７日、「ヨハネ・パウロ２世は『ポーランドの子』として収容所を訪問したが、ベネディクト１６世は『ドイツの子』として訪れる」と説明した。

　法王は少年のころ、ナチスの青少年組織「ヒトラー・ユーゲント」に義務的に所属し、独南部の高射砲隊に配属された際には、近郊のダッハウ収容所のユダヤ人強制労働者を目の当たりにした。また、ハンガリー戦線に赴いた際、強制収容所に送り込まれる多数のユダヤ人家族を目にし、聖職者の道に進む一つのきっかけになったという。

(05/29 02:09)

http://www.sankei.co.jp/news/060529/kok008.htm