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2006年05月28日(日) 06時26分

元審議官「裏仕事やりたくなかった」 防衛施設庁談合朝日新聞

 防衛施設庁発注工事の官製談合事件で起訴された元同庁技術審議官の河野孝義被告(57)が、29日に東京地裁で開かれる初公判を前に朝日新聞の取材に応じ、「組織で必要な仕事と引き継ぎを受けた。できればやりたくなかった」と、不正な受注調整の内幕や複雑な心境を初めて明らかにした。4月に懲戒免職になった後、ハローワークで職探しをする日々を過ごす。後悔の思いは断ち切れないが、施設庁の後輩職員に向けて「正々堂々とした仕事をやり遂げてほしい」と語った。

防衛施設庁発注工事をめぐる官製談合の構図

 施設庁発注の岩国基地(山口県)の工事や空調設備工事などで談合したとして、競売入札妨害の罪に問われている河野元審議官や、元技術審議官・生沢守被告(57)、元総務部施設調査官・松田隆繁被告(53)の施設庁元幹部3人は、初公判で起訴事実を認める方針だ。

 取材に応じた河野元審議官は、疲れた表情で伏し目がちに語り出した。

 「長年の流れの中で決心し、自分でやったことです」

 入札談合を施設庁が調整していたことを初めて知ったのは、03年に建設部長に就任した時だ。前任の生沢元審議官から「表の仕事ではないが、組織で大事な仕事なんだ」と言われたという。

 「具体的なところは部下がやり、それなりの段階で情報が上がってくる」。入札ごとに受注させる共同企業体を決め、配分表を作成するのが建設部の仕事だった。裏仕事に慣れないことに配慮して、生沢元審議官が度々アドバイスしてくれたという。部下から「こんな仕事は嫌だ」と言われ、河野元審議官自身も「できれば早く断ち切りたいという気持ち。生沢さんもそうだった」と振り返る。

 不正な受注調整や工事価格の漏洩(ろうえい)が続いた事情は、やはり業界への「天下り」だった。

 「私どもがそうすれば、(再就職の)あっせんの話がスムーズにいく。会社側も見返りを期待してね。(施設庁OBを)受け入れたら仕事につながりやすいという期待感がある」。「業界との接点」として施設庁の人事部門も、建設部による受注調整を承知していると思っていたという。

 東京地検特捜部の調べによると、施設庁での官製談合は約30年前から続けられていたとされる。河野元審議官は、いつからあったかさえ知らなかったと語る。

 「あの場所に座ったのがね……」。建設部長という「談合仕切り役」のポストに就いたことへの後悔を口にした。

 特捜部の事件摘発は、米軍再編に関する日米協議の時期とも重なった。「米軍関係が非常に難しい時期でもあり、不信感を抱かせた。ただし、ここで一気に切れたことは良かったと思う」。後輩職員に向けては、「変な仕事に携わらずに。プライドをなくさないで」と、反省を込めて語った。

 4月26日付で懲戒免職処分を受けた。再就職先はまだ決まっていない。退職金がない生活の中で、自宅マンションの購入費として長期のローンが残っている。

http://www.asahi.com/national/update/0528/TKY200605270325.html