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2006年05月27日(土) 01時29分

5月27日付・読売社説(2)読売新聞

 [ライブドア公判]「『堀江商法』解明を市場の教訓に」

 「ライブドア商法」。検察側がライブドア前社長、堀江貴文被告らの企業活動に付けたネーミングだ。検察が初めて、その商法を具体的かつ詳細に解剖して見せた。

 ライブドア事件で起訴された同社前取締役の宮内亮治被告ら6人と2法人に対する初公判が26日、東京地裁で開かれた。

 堀江被告は分離されて不在だったが、検察側は冒頭陳述で、堀江被告が主導したとする事件の全体像を示した。脱法、違法な手段で、ライブドアなどの株価がつり上げられた経緯や、公認会計士がそれを見逃していた実態が描かれた。

 そこで悪用された証券取引関連の法の穴をふさぐため、金融商品取引法案がいま、国会で審議されている。同種の事件を繰り返さないためにも、この法案の成立や、企業監査制度の抜本的な見直しを急がなければならない。

 初公判で、宮内被告と2人の関連会社前社長は、起訴事実を大筋で認めた。同じ裁判官が堀江被告の公判も担当することから、徹底抗戦の堀江被告側に与える影響も小さくないだろう。

 株式交換による企業買収の際、大量の自社株が相手方にわたるように交換比率を操作する。株式分割や粉飾決算でその株価をつり上げる。その上で、自社とのつながりを隠した投資事業組合を通じ、相手方にわたった形の自社株を売り抜け、利益を還流させる。

 バブル崩壊後の停滞を打破するため、商法改正で規制が解かれた取引手法を「時価総額の増大」のため、逆手にとったのが「ライブドア商法」だった。

 金融商品取引法案には、投資事業組合の透明性を高めるため、届け出や登録を義務づけるなど、自由化のひずみを是正する方策が盛り込まれている。一日も早く成立を図り、実施に移すべきだ。

 ライブドアの監査を担当していた公認会計士は粉飾決算に目をつぶり、不正の隠ぺいまで指導していた。なぜ、そんな事態が起きるのか。

 金融審議会は、カネボウ粉飾事件など一連の不祥事を受けて、監査制度の抜本的な見直しを進めている。ライブドア事件の捜査で明らかになった事実も十分参考にして、論議を深めてほしい。

 堀江被告は逮捕前、「合法ならば何でもできる」と公然と話していた。そうした拝金主義、市場至上主義の姿勢はなぜまかり通ったのか。

 金融庁や証券監視委員会などに、それをチェックする手だてはなかったのか。ライブドア公判には、そうした問題の解明も求めたい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060526ig91.htm