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2006年05月27日(土) 00時00分

映画、書籍とも大ヒット 『ダ・ヴィンチ・コード』 東京・銀座のソニービルもダ・ヴィンチ一色に 東京新聞

 映画「ダ・ヴィンチ・コード」の公開から一週間。最初の二日間だけで約九十三万人を動員するなど、興行収入百億円突破が確実視されており、ハリウッド映画の不振が取りざたされる中で久々の大ヒット作になりそうだ。原作小説が単行本や文庫本を合わせて一千万部を超え、関連本の出版も相次ぐなど、エンターテインメント業界がわく“ダ・ヴィンチ・コード景気”を読み解くと−。 (吉村智佳)

 原作は、四十四カ国語に翻訳され、全世界で約五千万部以上を売り上げたベストセラー小説。ルーブル美術館で起きた館長殺害事件をきっかけに、キリストにまつわる秘密が解き明かされていく−という筋立てで、天才レオナルド・ダビンチの名画に残された“暗号”がキーワードになっている。聖書にも出ていないキリストの設定が世界各地で論議を巻き起こし、上映の自粛や抗議運動が起きるなど波紋が広がっている。

 日本では、カンヌ国際映画祭のオープニング(17日・日本時間18日)を飾った後の二十日、八百六十三スクリーンという過去最大の規模で公開された。初日と二日目の「オープニング興行収入」は十二億八千万円余で、今年度の公開作品としては文句なしの一位。歴代でも十四位にランクイン、このうえない滑り出しとなった。欧米でも記録的な成績を上げている。

 映画の公開は、原作小説の売り上げも加速させた。

 二〇〇四年から売られている単行本に続き、文庫が発売されたのは映画公開より二カ月余り前の三月十日。初版は上中下巻合わせて百八十万部だった。それが、映画の公開が迫るにつれて部数が急伸し、四月中に当初の目標だった五百万部を早々とクリア。出版元の角川書店によると、公開後はさらに伸びているといい、「配給元が八百万人動員と言っているので、文庫本の次の目標もそれにならって八百万部。最近ではない数字です。でも、現実的な目標だと思いますよ」と鼻息は荒い。

 さて、これほどまでに売れた要因は何か。

 「原作が世界的なベストセラーで話題性があった。上映ボイコット騒動などがニュースで取り上げられ、作品の認知度を上げる結果になった」と、映画の配給元のソニー・ピクチャーズエンタテインメント。角川書店も「知的好奇心をくすぐる物語がこのところなかった。何かと話題が多かったことも一因」と話す。原作者が盗作だと訴えられたり、設定をめぐってキリスト教社会が反発したりした一連の騒動が、好結果の呼び水となったのは間違いなさそうだ。

 それに加えて映画の場合、広報を含めた戦略の成果もうかがえる。

 日本では通常、事前のマスコミ試写は十回以上行われることが多い中、「ダ・ヴィンチ・コード」はわずか三回。ジャパンプレミアを含む一般試写も三回のみで、人数も四千人に満たない、異例の少なさだった。試写会自体が、カンヌ映画祭での上映後、という制限つき。結果的に「見たい、という好奇心を刺激することになった」(配給元)ようだ。

 パブリシティーにも、力が入った。配給元などの宣伝担当者は計十一人。一つの作品としては異例の人数だ。約二十億円を投じ、今年の正月に放送したテレビスポット三本を皮切りに、新聞の全段広告や、東京・銀座のソニービル一棟を「ダ・ヴィンチ・コード」一色に染めるなど、目を引く派手な宣伝を繰り返した。

 さらに話題作とあって、テレビ局もタイアップを企画。十二日には、テレビ東京が「たけしの誰でもピカソ・緊急特別企画」として二時間の特集を、翌十三日にはTBSの「世界ふしぎ発見!」もダビンチを取り上げた。公開当日の二十日夜には、フジテレビが二時間にわたって特集を組み、相乗効果をあげた形になった。

 日本では、正月と夏休みに大作の公開が集中することが多く、五月の公開で百億円を超えた作品は、過去にない。配給元は、来年五月には人気シリーズの新作「スパイダーマン3」の公開を予定しており「この時期に大きなヒットを出すことは、夏休みへ向けた映画業界全体の水準アップにもなる」と期待を寄せる。カンヌでの上映は賛否が分かれたといい、今後の観客動員の伸びに疑問符を付ける向きもあるが、果たして…。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20060527/mng_____hog_____000.shtml