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2006年05月27日(土) 16時08分

都、東大内の食堂などに課税へ 東大は反発「訴える」朝日新聞

 広大なキャンパスへの課税を巡り、東京都と東大がにらみ合っている。固定資産税が非課税だった国立大が、法人化に伴い部分的に課税対象となったからだ。駅構内で繁盛する「駅ナカ」施設に周辺商店街並みの課税を打ち出した都は、今度は大学構内の生協食堂やコンビニエンスストアなどの敷地にも課税する構えだ。大学側も「いずれも学生生活に必要。提訴も視野に検討する」と一歩も引かない。

東大本郷キャンパス内の商業施設

 赤門の奥に広がる文京区本郷の東大キャンパス。大学生協の食堂にはカレー230円、ラーメン240円といった格安メニューが並ぶ。そんな昔ながらの「学食」の一方で、最近増えているのが一般の飲食店だ。

 カレーが生協食堂の3倍ほどする老舗(しにせ)の「松本楼」や、コーヒーショップの「ドトール」など、55万7千平方メートルのキャンパスに、レストランや喫茶店が14店。パンから家電まで買える生協の売店に24時間営業のコンビニ、旅行センター、郵便局や大手都銀3行の現金自動出入機(ATM)もそろう。都は「まるで『学ナカ』ビジネスになりつつある」。

 国立大の法人化に伴う地方税法の改正で、大学法人が民間企業などに貸している土地や建物には、05年度分から固定資産税が課税できるようになった。都は大学の土地利用がより自由になったとして、課税に向けた評価額調査を進めている。

 ターゲットは「ぜいたく施設」だけではない。四つある大学生協食堂や売店、自動販売機や電柱の敷地に至るまで目を光らせる。

 大学によると、一足先に課税が済んだ目黒区の東大駒場キャンパスでは、電柱1本あたり1・7平方メートルの敷地の税額は年間4千〜5千円。大学が東京電力に敷地を貸して得られる収入1500円を上回った。課税対象の電柱は、駒場だけで50本ある。

 そんな都の取り立てぶりに、東大財務部は「飲食店も売店も学生生活に必要不可欠で、大学の本来業務。理解がなさすぎる」と反発。評価が終わった駒場キャンパス分の課税額については、都に不服申し立てをしたが受け入れられず、提訴を視野に検討している。

 都は強気だが、法の条文は個別のケースに触れていないため、自治体によっては解釈が異なる。千葉県柏市にある東大キャンパスの食堂は非課税になった。柏市は今後、改めて評価する予定があるとしつつも、「営利目的でなく教育の場の延長であれば、非課税と判断する」。国立大の中には、すべての飲食店や売店が非課税になっているところもあり、東大は「自治体によって対応がバラバラなのも変な話だ」と指摘する。

 都は「課税するかどうかの判断は、あくまで使用形態による。大学教育の一環かどうかは関係ない」との見解だ。同じ食堂でも、大学直営ならば非課税というわけだ。

 駒場キャンパスでの新たな課税額は05年度分が計約700万円。4兆円余の都税収入にとっては微々たるものだが、都は「地価が高い場所に、膨大な対象施設があるため見逃せない。公平性から厳正に課税する」と主張する。教育目的以外の施設は原則課税される、私立大との不公平感をなくしたい考えだ。

 地方都市では国立大を地域のステータスととらえて尊重する傾向があるが、東京23区には大学がひしめいていることも、課税の考え方に影響している。

 固定資産税の課税には、建物全体の評価が必要だが、本郷キャンパスには安田講堂など歴史的な建物が多い。これらの評価の基となる資料が残っておらず、測量などでかなりの手間と時間がかかる見込みだ。

 だが、都内のほかの国立大のほとんどで課税のめどがついており、都は本郷キャンパスも今年度中に評価を終え、課税に持ち込みたい考えだ。

http://www.asahi.com/national/update/0527/TKY200605270200.html