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2006年05月26日(金) 00時00分

【広域】 年金保険料不正「納付率アップ意識」 三重社会保険事務局が陳謝 東京新聞

 国民年金の保険料を未納者本人からの申請なしに免除・猶予していた不正処理が発覚し、三重社会保険事務局(津市)は25日、原和雄局長が社会保険庁への事情説明のため上京するなど、あわただしく対応に追われた。久保法司年金課長と小林真也国民年金対策官は同日夕、県庁で緊急会見し「不適切な事務処理をした。反省している」と違法性を認め、深々と頭を下げた。(沢田敦、矢野修平)

 記者会見で、久保課長らは「免除のメリットを受けられる被保険者の権利を重視した」と強調。一方で「納付率アップも意識していた。目標を目指すのはどの組織も一緒ではないか」と認めた。

 市町村から社会保険庁に徴収事務が移管された2002年度を境に、保険料の納付率が低迷していることについては「地域の状況を把握している自治体のほうが効率的。制度を見直しほしい」と“愚痴”も漏らした。

 同事務局は昨年10月末、電話や戸別訪問で接触できない対象者ついて年金課内で協議。「免除を希望されない方は連絡ください」と記した意思確認書を送付し、本人と連絡が取れなくても手続きを進めることを、原局長ら幹部が参加した会議で決めた。

 ある職員は「消極的な意思確認だった」と振り返り「駄目と言われると思い、社会保険庁には相談しなかった」と違法性を認識していたことを明かした。「問題になった時の波及効果が心配だった」と、大阪などで不正処理が発覚した後に行われた今月の全国調査にも報告しなかったという。

 昨年12月には、所得情報提供などの協力を県内全自治体に求めたが、四日市市が「違法だ」と拒否。それでも歯止めはかからなかった。

 今後は不正処理した9805人の免除・猶予の承認を取り消し、全職員が対象者全員を戸別訪問し、あらためて申請の案内を行う。

◇「説明努力に疑問」石阪三重大助教授

 国民年金の保険料不正免除について、石阪督規・三重大人文学部助教授(社会学)は「将来、年金が受けられない人を減らすために取った対策だったかもしれないが、公平な仕組みで成り立つ年金制度で被保険者の了解を得ずに保険料を免除するような違法な行為が許されるはずがない」と話している。

 問題の背景に「年金制度の仕組みが被保険者に理解されていないことがあるのでは」と指摘。「社会保険事務所が保険料を払わない人に対し、納得できるまで説明する努力したか疑問が残る」と批判。今回の問題を教訓にした国民年金制度の改善策については「年金制度がなぜ必要なのか、社会保険庁は国民に丁寧に説明する必要がある。年金制度に不備があるなら法を改正し、抜本的に制度を見直すべきだ」と話している。 (紙山直泰)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/mie/20060526/lcl_____mie_____000.shtml