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2006年05月26日(金) 03時03分

損保ジャパン 販売停止2週間 平野氏、会長職辞退へ産経新聞

 金融庁は二十五日、損害保険ジャパンに対し、全国の店舗で六月十二日から二週間、主力の損保商品販売の停止を命じた。同庁の検査で保険業法で禁じられている保険料の立て替えや保険金の支払い漏れなど、複数の違法行為がみつかったため。同庁は損保ジャパンの内部管理体制を問題視しており、併せて法令順守体制の構築や、経営責任の明確化などを求める業務改善命令を発動した。
 金融庁の処分を受け、損保ジャパンの平野浩志社長は同日会見し、六月に予定していた会長への就任を辞退することを示唆した。
 処分はそのほか(1)新商品開発の三カ月停止(2)生命保険商品の販売の一カ月停止(3)山口支店の一カ月の業務停止−など。
 金融庁は昨年十一月、自動車保険の特約部分で支払い漏れがあったとして、同社を含む損保会社二十六社に対し、業務改善命令を出したが、損保ジャパンはその後の金融庁検査で、計千三百三十四件の支払い漏れがみつかったという。
 このほか生保商品の販売で社員二百八十人が保険料を立て替えたり、契約者に無断で契約書に印鑑を押すなどの違法行為が多数明らかになり、同庁は厳格な処分が必要と判断した。
     ◇
 ■金融庁 消費者保護へ転換
 金融庁が相次いで金融機関に厳罰で臨む背景には、バブル崩壊後の不良債権問題の終息を機に、金融行政の軸足を金融システムの安定化から、消費者保護の徹底へと転換したことがある。金融機関の行き過ぎた利益優先主義にクサビを打ち込み、消費者優先を徹底させるチャンスに強い意欲を示している。
 金融庁は金融危機が深刻化する中、「非常時からの脱却」を旗印に、金融機関の収益回復を最優先課題として不良債権処理を強力に推し進めてきた。
 しかし昨年、大手銀行が不良債権比率の半減目標を達成し、不良債権問題は終息。これに伴い、金融行政の力点は金融機関の財務内容に着目した「事前チェック型」から法令順守体制の「事後チェック型」に移行することになった。
 実際、金融庁は今年四月以降、消費者金融大手のアイフルや三井住友銀行、中央青山監査法人と業務停止命令を連発。厳格な処分によって、儲(もう)け至上主義の一方でコンプライアンス(法令順守)体制の緩んだ金融機関や監査法人に規律を取り戻すよう促した。
 損保ジャパンに対する金融庁の処分方針が示されて以降、損保業界では「この程度の法律違反で業務停止では、どこも業務停止となってしまう。重すぎる処分だ」との声も広がったが、そこには損保業界が、顧客軽視の体質に深く染まっている現実がうかがえる。
 今回の処分は金融不安の過程で儲け追求に傾いた金融機関の、顧客軽視を金融庁が許さない姿勢を鮮明にしたといえる。金融機関は今後、ともすれば甘い監視で見逃されてきた消費者軽視、コンプライアンス軽視の姿勢を、自らの手で転換する強い意志を示す必要がある。(本田誠)
(産経新聞) - 5月26日3時3分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060526-00000001-san-bus_all