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2006年05月26日(金) 12時01分

裁判員制度:市民感覚で簡潔に 導入、問題点どう解決−−地裁・三輪和雄所長 /青森毎日新聞

 市民が刑事裁判に参加する裁判員制度が09年5月までに導入される。青森地裁では、これまで4回の模擬裁判を開き、実現に向けた問題点をチェックしている。青森面では23〜24日の2回にわたって記者の模擬裁判体験記を掲載。パフォーマンスや感情に流される危険性がある▽量刑の判断基準がない▽長時間の拘束で精神的・経済的な負担が大きい——など、裁判員が法律の素人であるが故に生じる問題点を指摘した。これらの解決に向け、裁判所は今後どう取り組んでいくのか、青森地裁の三輪和雄所長に聞いた。【聞き手・喜浦遊】
 ——模擬裁判に裁判員として参加し、証拠の多さに驚いた。
 ◆検察官にしろ弁護士にしろ、メリハリをつけてわかりやすく証拠を説明することが必要。立証の段階で、もっと工夫しなくてはならない。
 ——証拠より、パフォーマンスのうまさに惑わされる危険がある。
 ◆情に訴えてみたり、事実と関係ない認識をすりこまれることは、ありえる。情状というのは重要だが、それで事実をねじ曲げるようなことがあってはならない。裁判所が事前に証拠を慎重に精査しないといけない。また、実際にそのようなケースがあれば、裁判官が裁判員に「今の立証は無視するように」などと注意する必要がある。
 ——評議は長い時間がかかった。
 ◆課題の一つ。納得するまで無限に話し合えればいいのだが、「子供が帰ってくるから終わりたい」という人もいるかもしれない。なるべく時間の配分を考えて審議したいが、言いたいことは全部言ってもらったほうがいいので、時間がかかるのはやむを得ないとも思う。
 ——量刑面で裁判員の考えが大きく食い違い、皆が戸惑った。
 ◆あれは大きな問題。今は最高裁を中心に、「このような事件で、このような量刑だった」という資料をデータベース化する動きがある。それで、少しはばらつきが狭められるのではないか。ただ、データベースはあくまでも参考資料。事件は千差万別で、人にはそれぞれ人生観や価値観があるのだから、ばらけるのは仕方がない。間違った事実判断に基づいて判決が出るのは問題だが、そこは裁判官が正す。そして、最終的に一致点を見いだすことが望ましい。
 ——裁判員制度のメリットは何か。
 ◆国民の司法参加によって、裁判がわかりやすくなるということ。国民の刑罰に対する意識は厳しくなってきており、被害者の気持ちをもっと重視すべきだという考えが強まっている。これまでに裁判官が出した判決や量刑がおかしいというわけではないが、市民の感覚で、もう一度裁判を見直してみるのは、意義があることだ。
 ——開始まであと3年しかない。
 ◆時間は足りないくらい。市民が本当に参加してくれるのか、法律をいかにわかりやすく理解してもらうか、裁判官の数は足りるのか……。課題は山積みで、もう後がないという気持ちだ。

5月26日朝刊
(毎日新聞) - 5月26日12時1分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060526-00000028-mailo-l02